カルロス・ゴーン氏の保釈請求が、今日、案の定却下されたようである。
弁護団としては当然準抗告手続きを取ると思われるが、今の段階での保釈はないと考えるのが一般の法律実務家の感覚だろう。
ゴーン氏の特別背任容疑は国境を跨いだ国際的な背景のある刑事事件だから、裁判所が今の段階では証拠隠滅や海外逃亡の虞がないとは言えない、と判断しても特に奇異な判断とは言えない。
早期保釈の可能性を指摘されていた識者の方もおられたが、まず無理だろうな、というのが私の判断だった。
公判前整理手続きもまだ始まっていないようなので、ゴーン氏の勾留は当分続く。
ゴーン氏はルノーの会長兼CEO(最高経営責任者)だそうだが、ルノーは実質的にCEOを欠いても何の支障もないのだろうか。
私だったら、起訴が決まった段階でゴーン氏にルノーのCEO職を自発的に返上するよう勧めたところである。
日本の拘置所に拘留されていて他の役員や従業員との自由な接触・交流が制限されている状態でルノーの経営について的確な指示が出来るとはとても思えない。
経営者として第一に考えるべきは、自分にどんな問題が生じても絶対に会社の運営に支障を及ぼさないように配慮することなのだが、今のところゴーン氏側にはそういう動きがみられないようである。
ゴーン氏は経営者として卓越した資質の持ち主なのかな、と思っていたが、目下のところ、ゴーン氏はそういう期待を裏切ってしまっているようである。
こういう状態でルノーと日産の関係が上手く行くのかしら、と訝っている。
そもそもルノー側の役員が日産の役員から直接話を聞こうともしないで、弁護士を通しての話しか聞かないようにしていた、というのが不思議だった。
そろそろルノーも、ゴーン氏をルノーの会長職やCEO職から外すべきではないのか。
フランスのメディアもようやくそのことに気が付かれたようである。
まあ、当然のことであるが・・。
編集部より:この記事は、弁護士・元衆議院議員、早川忠孝氏のブログ 2019年1月15日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は早川氏の公式ブログ「早川忠孝の一念発起・日々新たに」をご覧ください。