今週のメルマガ前半部の紹介です。
先日、以下のエントリーがネットで話題となりました。
「いまどきそんな会社あるのか!」と驚いている人が多いようですが、実は、求職者の家族情報などのプライベートを聞きたがる面接官は少なくないですね。上手い採用担当は質問と思わせず、世間話のついでに聞き出したりする人もいます。
なぜ企業は求職者のプライベートを知りたがるんでしょうか。また、そういう質問に遭遇した場合、どのように対応するのがベストなんでしょうか。いい機会なのでまとめておきましょう。
企業が家族構成や実家を気にするワケ
筆者が常々言っていることですが、日本型雇用というのは高度成長期の家族モデル、働き方と密接に結びついています。たとえばこんな価値観です。
- 夫は残業、全国転勤で会社第一の生活を送るべし
- 女性は家庭に入って夫を下支えするべし
- 夫はその会社で定年まで奉公し、家族もまたそれに全面的に従うべし
終身雇用前提なので、繁忙期には新規採用ではなく残業で対応しないといけません。ほとんどの会社では労使が36協定結んで月100時間超えても残業できる枠組みを作っています。従業員にはしっかりそれに従ってもらわないといけません。
また、欠員の出た事業所に余裕のある事業所から人を移すことも終身雇用死守のためには不可欠です。いつでもどこへでも会社命令で引っ越してもらう必要があるわけです。
そう考えれば、面接で上記のようなメンバーシップ型雇用がこなせるのかを判断することが、面接における大きなポイントとなるのは明らかでしょう。
特に求職者が共働きの場合などは、配偶者はどういう会社でどういう仕事をしているかを企業としては強い関心を持つでしょう。会社によっては「実家の都合でUターン」というリスクも見越して実家の場所まで気に掛けるかもしれません。
筆者の感覚で言うと、上記のような昭和的価値観は、都市部<地方、サービス業<製造業で濃厚に残っています。静岡のおもちゃメーカーは相当ディープな昭和ゾーンだったんでしょう。
さて、企業の採用面接については、我々愚かなる下々のために、エリート集団として名高い厚労省さまがありがたいガイドラインを作ってくださっています。それによると「応募者の適性・能力のみを基準として行うこと」が基本であり、本籍地や出生地、家族構成や宗教、支持政党などの質問は控えるようにとされています。
上記の質問は明らかにガイドライン違反であり、本人が怒るのも無理からぬことだと思います。
とはいえ、手を変え品を変え、そうしたガイドライン違反の質問は今後も残ると筆者はみています。なぜか?それは終身雇用がその情報を必要とするからです。
考えてみれば、矛盾はほかにもいっぱいありますね。バブル以来の新卒求人数と言いつつ氷河期世代の40代のフリーターは門前払いだったり、医大が入試で浪人と女性をはじいてたり。年齢とか性別で排除するって、家族情報聞いたり実家の場所聞くよりはるかにガイドライン違反だと思うんですけど。
というわけで、そもそも終身雇用そのものがガイドライン違反なんじゃないかというのが筆者のスタンスです。
以降、
中途の面接はこうして乗り切れ
直球勝負のススメ
Q:「不祥事のあった会社への転職はアリですか?」
→A:「普通にアリでしょう」
Q:「〇〇〇の〇〇〇〇〇〇問題について一言お願いします」
→A:「時代でしょうね……」
雇用ニュースの深層
残業抑制するには浮いた残業代を給料で還元すべし
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編集部より:この記事は城繁幸氏のブログ「Joe’s Labo」2019年1月24日の記事より転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はJoe’s Laboをご覧ください。