こんにちは、都議会議員(北区選出)のおときた駿です。
1月23日、いよいよ築地再開発の展望が明らかになりました。先週、朝日新聞がスクープしたものとほぼ同じ内容です。
東京新聞:築地跡地に国際会議場 「食」構想消え「稼ぐ」場に:社会(TOKYO Web)
http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201901/CK2019012402000136.html
国際会議場や、IRの可能性を含んだ「大規模集客施設」が軸となるプランで、市場やセリ機能はおろか、「食」という概念はカケラすら残らないものとなりました。
「食のテーマパークを超え、ウェルネス(健康)とか文化や伝統などを含めた形で築地に展開する」
というコメントを発表していますが、これは残念ながら詭弁としか言いようがありません。「築地に戻れるお手伝いをする」と断言していた基本方針に転換に対して、真摯に向き合う必要があると思います。
百歩譲って、仮に今回のプランが具現化されている中に「食」という概念が残るのだとしても、なお見過ごせない公約違反があります。
それが今回の再開発プランによって生じる都民負担・都税投入です。
旧築地再開発、国際会議場など軸に 都が素案を決定:日本経済新聞
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO40352240T20C19A1000000/
>再開発を加速させるため、市場利用料でまかなう特別会計で管理していた旧築地を、都の税金による一般会計が買い取る方針も決めた。価格は5623億円に設定。そのうち5423億円は2018年度補正予算案に計上する。
市場会計で築地市場跡地を保持しながら、年間150億円の賃料を生み出すという当初方針は撤回。一般会計が跡地を5,600億円で買い取り、民間売却はしないとしています。
つまり現時点では、都から5,600億円の支出が発生するだけで、なんら収入のめどは立っていない状態です。
小池知事は2017年6月20日に発表した基本方針記者会見の中で、下記のように名言をしています。
【記者】東京新聞の榊原です。豊洲市場の整備でできた借金はどうやって返すんですか。追加でかかる税金はいくらくらいになるんでしょうか。【知事】これにつきましては、たとえば償還の問題が出てきますけれども、これについては今精査をさせてるところでございます。また、それによって、市場会計を痛むことのないように、また税金を新たに投入する事のないような、このような方策について今検討させたところでございます。
【記者】税金は投入されない。
【知事】さまざまな方法を考えて、ベストなワイズスペンディングでいきたいと思っております。
(2017年6月20日記者会見より抜粋、強調筆者)
有償所管換えによって、前者の「市場会計が痛むことのないよう」という方は達成されていますが、後者の「税金を新たに投入する事のない」という方針は完全に放棄されています。
補正予算で5600億円もの予算を投じ、売却や貸付による見通しがまったく立っていないわけですから、これは一時的あるいは長期的な都民負担であることは誰の目にも明らかでありましょう。
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私自身、一時期はこのような基本方針を支持したことは誤りでありましたし、都議会の本会議場で撤回・謝罪を致しました。改めて、誠に申し訳なく思っています。
それから1年以上が経過し、小池知事もついに基本方針を放棄。しかしながら、ご本人から公約・基本方針との整合性について十分な説明はまだありません。
私としては、市場会計から一般会計に築地市場跡地を移す有償所管換え自体には賛成です。しかしながら、公約に対する責任を放棄したまま、新たな都民負担を平然と発生させる姿勢には納得ができません。
補正予算案への賛否も含めて、来月の都議会の中で議論を深めて、会派としてのスタンスを決めていきたいと思います。
それでは、また明日。
編集部より:この記事は、あたらしい党代表、東京都議会議員、音喜多駿氏(北区選出)のブログ2019年1月24日の記事より転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はおときた駿ブログをご覧ください。