憂鬱から解放される?不安が希望にかわっていく考え方とは

尾藤 克之

がんばっているのに、評価されない。会社のやり方に疑問はあるけれど、自分ではどうにもできないし辞める勇気もない。いま、私たちが持つべきマインドとはなにか。

今回は『憂鬱な毎日は“いますぐ”やめなさい。』(岡崎かつひろ著、きずな出版)を紹介したい。『自分を安売りするのは〝いますぐ″やめなさい。』(同)、『言いなりの人生は”いますぐ”やめなさい。』(同)につづくシリーズ第3弾になる。

人生の質は人関関係が9割

学生時代に学校の先生から必ず言われることがある。「みんな仲よくしなさい」。これは学校という組織のなかでは非常に大切なことである。

「私も1クラス40人ほどの学級にいましたから、全員の顔を知っています。そのなかで『派閥』のようなものができていたら大変です。『組織は内側から壊れる』という言葉があります。さまざまな原因が考えられますが、さいたるものは派閥ができることです。外に向けて戦っていくエネルギーを、内側の派閥争いに向けて使ってしまう。」(岡崎さん)

「内側から崩壊を起こしてしまうわけです。固定化されたコミュニティにおいて、派閥をつくるのはご法度です。確実に組織の崩壊につながります。社会人はどうでしょうか?派閥のようなものは組織を壊しますから、会社などで派閥のようなものはつくらないほうがいいでしょう。社会人は無理にみんなと仲よくしなくていいのです。」(同)

岡崎さんは、仲よくする人は選んだほうがいい。あなたが付き合う人によって、あなたがどういう人になるかが決まってくると解説する。

「たとえば、なぜあなたは日本語を話すのでしょうか?日本人だからと思うかもしれませんがそうではありません。日本人であっても、アメリカで育てば英語を話すでしょうし、中国で育てば中国語を話すでしょう。育った環境によって、何語で話すかが決まっているのです。ほかにも、こんなことありませんでしたか?」(岡崎さん)

「学生時代に人気のある人がいて、その人の言葉遣いが移って、みんなが使っていること。私は、本作の担当編集者である、きずな出版の小寺編集長とよくご一緒させていただいていますが、小寺さんの口癖は『○○問題』です。何か課題があると『○○問題』と言います。最近ではすっかり、私にもその口癖が移りました。」(同)

付き合う人を選ぼう

本書書影

「『環境が人をつくる』という格言があります。人は環境の生き物で、どんな人たちに囲まれているかで、自分がどんな人になっていくかが決まっていきます。あなたのまわりにサボってばかりいる人、愚痴ばかり言う人、憂鬱で暗い人ばかりいると、あなたもそういう人になってしまいます。一緒にいる人は選ばなければいけません。」(岡崎さん)

「付き合っている5人の平均があなたです。付き合う人は選びましょう。人間関係で憂鬱にならないために大事なこと。それは、付き合う人を選ぶことと、あなたにとってメリットがある人と一緒にいることを心がけるということです。」(同)

私たちが憂鬱を感じてしまう理由にはいくつかの要因がある。会社であれば、ヴィジョン、ミッション、ストラテジーなどが細かく規定されているところがある。しかし、やりがいを感じていない人に「ヴィジョンに共感しろ」と言ってもそれは難しい。社長が無理やりヴィジョン手帳なるものを作成して、毎日唱和させたところでムダである。

社長の肖像画やモチーフ、神棚が用意されている会社もある。毎朝、社員に無理やり拝ませたところで簡単に意識はかわらない。あなたが、憂鬱な毎日を送らないための一つの解が本書に記されている。それは、憂鬱になる要因をすべて手放すことである。

尾藤克之
コラムニスト、明治大学サービス創新研究所研究員

※新刊情報(筆者11冊目の著書。発売2週間で3刷)
即効!成果が上がる文章の技術』(明日香出版社)

[本書の評価]★★★(75点)
評価のレべリング】※標準点(合格点)を60点に設定。
★★★★★「レベル5!家宝として置いておきたい本」90点~100点
★★★★ 「レベル4!期待を大きく上回った本」80点~90点未満
★★★  「レベル3!期待を裏切らない本」70点~80点未満
★★   「レベル2!読んでも損は無い本」60点~70点未満
★    「レベル1!評価が難しい本」50点~60点未満
星無し  「レベル0!読むに値しない本」50点未満