子どもを学童に通わせる親の駒崎です。
働く親にとって、学童保育は無くてはならないものであり、先生方も熱心かつ心を込めて娘に接してくれて、とても感謝しています。
これまで、学童保育の基準は、
◯1教室に職員は2人以上
◯そのうち1人は保育士や社会福祉士などで、かつ、都道府県の研修を受けた「放課後児童支援員」
などと定められてきました。
しかし、それが昨年11月に変更されました。
ワンオペ学童がOKに
昨年11月19日、内閣府地方分権改革有識者会議の専門部会で、内閣府と厚労省は、来年の通常国会で児童福祉法を改正し、同法に基づいて厚労省令で定める「従うべき基準」を「参酌すべき(参考にすべき)基準」にとどめる方針を示しました
これは、基準の事実上の撤廃によって「ワンオペ学童」が可能になったということです。
学童でも起きる性犯罪
学童保育の質を考える上で、非常に問題だと思いますが、職員がワンオペになった場合、万が一職員が小児性愛者だった際に、何のセーフティネットも働かないことになります。
現在も、学童保育では性犯罪が未遂も含めて発生しています。
こうした性犯罪が、ワンオペ学童の場合は、より防ぎづらくなることは明白です。
子どもに対する性犯罪は、再犯率が非常に高いことがデータからも見てとれます。
性犯罪者の前科を調べたところ、過去に子どもに対する性犯罪の前科がある者が84.6%もいたという調査結果があります。
子どもに対する性犯罪は、子ども自身が気づきづらかったり、周りに言い出せないことが要因で事実として露見しづらく、再犯が容易になってしまうことが推測されます。
こうした子どもに対する性犯罪を防ぐために、ワンオペOKにするのであれば、採用時に性犯罪歴の照会をかけられる仕組みを導入すべきです。
イギリスでは導入されている
イギリスでは、DBS( Disclosure and Barring Service )という政府部局があり、ここが各事業者が行う犯罪記録チェックのリクエスト処理を行っています。
DBSは警察記録を検索して、申請者にDBS証明書を発行するのです。これで、保育事業者や学校は、保育士や教師が少なくとも子どもへの性犯罪の前科がないか、チェックした上で雇用することができます。
同様の仕組みは日本にも必要です。本来であれば、学童保育だけでなく保育所・学校等でも導入されるべきです。
ワンオペが可能になった今、ワンオペによる密室の中で性犯罪が起きない仕組みを、真剣に考えるべきではないでしょうか?
編集部より:この記事は、認定NPO法人フローレンス代表理事、駒崎弘樹氏のブログ 2019年1月29日の投稿を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は駒崎弘樹BLOGをご覧ください。