格言の矛盾をつなぐ

今週は、高校生や大学生とお話しする機会をたくさんいただいた。

高校生や大学生と語り合うと、素朴な質問に対し、本質に気づいたり言葉をかみ砕き省略せず伝えないといけないので、頭がしなやかになる。

写真AC:編集部

格言やことわざでうまく説明した気になっても、実はこれらには矛盾するものが多い。

「善は急げ」「急がば回れ」

「君子危うきに近寄らず。」「虎穴に入らずんば虎子を得ず」

「鶏口となるも牛後となるなかれ」「寄らば大樹の陰」

などなど。

高校生や大学生は、これらの矛盾をついてくる。

とどのつまり、中庸が大切ということなのか。

あるいは、人は生きたいようにしか生きられないということなのか。城山三郎は名著『落日燃ゆ』の中で、「風車 風が吹くまで 昼寝かな」と詠んだ廣田弘毅と、何事にも計らう吉田茂とを対比していたが、その後の講演で「(生き方は)どちらでもいいんです、自分の道を貫くことが大切です。」と説いていた。

はたまた、経験を積み重ねていくなかで、矛盾する格言や諺を、状況によって無意識のうちに使い分けているが、それらをうまく言語化できていないだけなのか。

それとも、言葉にならないものに本質があるのか。

いずれにせよ、いつまでも、高校生や大学生が話したいと思う大人でありたい

<井上貴至 プロフィール>


編集部より:この記事は、井上貴至氏のブログ 2019年1月29日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は井上氏のブログ『井上貴至の地域づくりは楽しい』をご覧ください。