2019年度の1万円札の発注量はどうして減少するのか

日銀は2019年度に1万円札から千円札までの新札を30億枚発注する。1万円札は10億枚と過去最少の発注とし、18年度から2億枚減らす。日銀は4~5年に一度の頻度で1万円札を廃棄し、お札の品質を管理。お札の破損が減れば、新札の発注枚数も減る(4日付日経新聞)。

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1万円札などお札の発行残高は伸びているにもかかわらず、何故に1万円札の発注量が2018年度から2019年度にかけて2億枚も減少するのであろうか。

日銀「平成31年度の銀行券発注高」(過去の発注額の推移もあり)

日経新聞の記事によると、キャッシュレス決済の普及やタンス預金の広がりを指摘している。キャッシュレス決済の普及により1万円札の利用頻度が減少すれば、確かにお札の破損する割合が減少することになろう。タンス預金の増加も利用頻度を減少させることになる。

しかし、キャッシュレス決済がここにきて突然普及が広まったわけではない。電子カードの普及は1万円札というより小額のコインの利用頻度を減少させよう。クレジットカード決済の普及が広まったとしても、それほど急激に増加したというのも考えづらい。

タンス預金については、2016年のマイナス金利政策によって預貯金につく金利がさらに限られ、それが2016年度あたりからの1万円札の利用頻度の要因となった可能性はある。つまり預金とせずに現金をそのまま手元に残す割合の増加である。ここにきて、タンス預金増加の動きが一巡したとの見方も出来るかもしれない。

これは景気の動向による影響を受けている可能性もあるのではなかろうか。ここにきての個人消費の低迷なども一因になっているのではなかろうか。


編集部より:この記事は、久保田博幸氏のブログ「牛さん熊さんブログ」2019年2月5日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方はこちらをご覧ください。