もし本当にNHKがぶっ潰されたら、待ち受ける地獄とは?

吉岡 慶太

東京都北区議会議員の吉岡けいたです。

先日もブログで投稿しましたが、「NHK受信料問題と放送法改革」は地域課題と考えます。
本日は、簡潔に「もし本当にNHKがぶっ潰されたらどうなるのか?」についてお伝えします。

「ウソや犯罪を繰り返すNHKに受信料を支払う必要はない」
「受信料を支払わなくてもよいように法令の改正をする」

これを政策にした公の政党、公職たる地方議員の方がいらっしゃいます。

では、もし本当に「NHKがぶっ潰され消えてしまった後」はどうなるのでしょうか?

東京・渋谷のNHK放送センター(写真AC:編集部)

想定1: 民間放送局だけであればアナーキー状態に

当たり前ですが、日本に公共放送局が無くなります。残るは民間放送局となります。

「甲子園野球の試合が全試合観れなくなる。」

「国会中継が見られない」

「選挙時に候補者の政見放送が見られなくなる」

この程度の事でしょうか?

ニュースや専門番組は民間放送局でもやるから問題ない。

そんな単純な事でしょうか?

実際に、民間放送局だけが残るとなれば、民間企業は収益優先のビジネスとなるため、視聴率重視、スポンサーありきで放映内容が決まります。

地域防災に必要な情報、障がい者の居場所をどう考えるか、健康増進に必要な医療介護の動向、地域コミュニティ活性化の取り組みなど、社会的に有益なことであっても数字をとれない生真面目な番組などにスポンサーはほぼつきません。

さらに今、政府で検討されているのは放送制度改革です。

その目玉の一つとして「外資規制撤廃」が検討されています。

つまり、中国や中東の資金が豊かな国が日本の放送局を買い取り、あるいはオークション電波への新規参入促進により放送市場に外資放送局が入ってくるかもしれません。

北方領土問題、韓国のレーダー照射事件、中国の著作権無視のソフト利用などについても、外資放送局であれば自国の正当性をガンガン日本国内で放映し、武器やミサイル、兵器なしでも放送という手段により視聴者に「日本人の価値観を低下させる」ことが合法的、争いなしで可能となります。

他国の国益を邁進させる放送局が生まれ、「日本人のための日本人を守る情報を放映する」ための砦であるNHKが無くなれば、日本の国益が守られる放映上の仕組みは崩壊すると危惧します。

想定2:ヘイトスピーチ政策が蔓延する危険

「NHKはウソの番組を放送している」

「NHK集金人は殺人やレイ〇など数々の罪を犯している危険な人たちです。」(某政治団体ホームページ「党について」に記載あり)といった訴え

さすがにこうした表現は、ヘイトスピーチに近いと感じます(当方の受け止めですが)。

しかし、その政党は単に批判、批難だけでなく「スクランブル放送の実施を求める」政策があるため、ヘイトスピーチ一辺倒政党とは言えません。

それにしても、公の政治団体の政策内容としてどうなのだろう?と一地方議員として感じます。

〇〇が嫌、〇〇が納得できないという不満と疑問を集め、そうした負の感情を票に結び付ける成功事例が成り立てば、「児童相談所をつくるな」「生活保護受給者を許さない」「韓国や中国が嫌い。日本から出ていけ」というヘイト感情を集め、地域ニーズとして評価される政治が今後、さらに形を変えて結果をだす仕組みが生まれます。

公職である政治家、政党、政治の本来の仕事は問題解決に向け、問題の本質を調査し、社会に有益となる具体的解決策を示し、政策討論で結果を出すべきでは無いでしょうか?

想定3:フェイクニュースと現実がごっちゃになり、社会構造がみえなくなる

フェイクニュースは世論操作ができ、実際に国の形を変えられます。2016年の大統領選挙で数多くフェイクニュースがあり、アメリカという国の方向性に影響を及ぼしました。

近い将来、放送法4条が改正され、メディアの自由化が進んだとき、ネット社会がヘイトの巣窟となっていたような事態がテレビ放映(ネット放映)にも起こりえます。

公共放送が消滅し、民間放映のみが残るとなれば、フェイクニュースが歯止めなく生まれ、事実と虚像の判断が困難になるリスクがあります。

当方はNHK支持者でも、関係者でもありません。

ただ、良質な事実を放映する公共放送メディアが「受信料を払いたくない」という理由だけでぶっ壊されては、社会が崩壊するリスクがあるとだけお伝えさせていただきます。

あくまで、北区議会議員である吉岡けいたが感じる事であり、反論、対案は政策討議という形でならお受けすることは検討させて頂きます。

最後に、2019年の東京都北区議会第一定例会に提出する「NHKと地方自治体の連携強化を求める意見書案」をご紹介します。

当方なりの解決試案となります。

地方自治体とNHKの連携強化を進め良質な公共放送となる法改正を求める意見書

現状、「NHKを視聴しない理由で受信料を払わない方を全力でサポートする」政党が設立され、各地方議会議員選挙が行われる中で当政党から当選者があり、当政党所属の地方議員が10名を超えています。

NHKという一法人への批判、受信料不払条例の制定を目指し、NHK攻撃と受信料不払い以外の政策を示さない地方議員が今後、増え続けていけば、地方議会における議会機能について影響が生じかねません。

その一方、国民の知る権利という視点から、地域防災、健康対策と予防医療、地域コミュニティなど区民が知るべき公益性のある情報について担保されることが重要です。

北区の区民生活を豊かにすべく多様な地域情報が今以上、視聴できるような環境とし、地方自治体と公共放送事業者が連携し、関係性を深めることにより良質な公共放送が確保されることこそ「穏やかで安心してくらせるまち北区」を実現させます。

実情、NHK受信料徴収制度、公共放送事業所と地方自治体の連携制度について時代に合った内容となっていません。

その結果、公職たる一部政党の地方議員が受信料不払を公約として一事業団体への攻撃を公務として行う事態が生じていることは、そうした状況に対策をしていない地方自治体、国、地方議会にも責任があります。

上記理由から、地方自治体とNHKとの連携強化を進め、放送法改正を求める趣旨で以下の事を国に要望します。

1.  地方自治体とNHKが良質な公共放送を提供するために関係を強化する放送法改正をする事。

2. NHKは地域住民に必要な「地域防災」「健康医療」「高齢者福祉」「子育て支援」など地域課題にあった番組制作において地方自治体からの情報提供を得やすくする放送法改正、自治体協力のルールを作る事。

3. 受信料支払問題については一公共事業団体のみの問題とせず、国が視聴者から受信料支払いについて同意が得られるような仕組みづくりに協力する事。

以上、地方自治法第 99 条の規定に基づき、意見書を提出する。

平成 31 年  月   日

この意見書案はあくまでも北区議会に提出予定の吉岡けいた北区議会議員(案)であり、政北区議会政務査会において不採択となることがあること、あらかじめご理解ください。

吉岡 慶太  東京都北区議会議員(無所属)
区職員(23年間、生活保護ケースワーカー10年他)を経て、2015年から現職(1期目)