進まないのは誰のせい?都議会における委員長の「権限」と「責任」

こんばんは、都議会議員(北区選出)のおときた駿です。

過去記事:
100名以上の都庁職員も終電逃す?都議会「0時流会」慣習の是非 

昨日からスタックして休憩に入っている財政理事会、15日23時現在で休憩連続約34時間に突入し、再開の気配がありません。。

委員会がなぜ進まないかということについては、昨日のブログに加えて午前中の会派総会中継でも解説しましたので、ぜひこちらをご覧ください。

動画、写真ともに顔が完全に死んでいるのは仕様です。←

で、この午前中の会派総会時からほとんど状況は動いてないので(?!)、ご報告することも限られているのですが、動画の中で解説した話を改めて文章でも。

議会における委員会運営で、「委員長」というのは絶大な権限を持ちます。委員会の招集と開会を決定できるのは原則委員長ですし、意見が割れた場合など、最終的には委員長権限で採決に踏み切ることもできます。

そしてこの委員長ポストは議席数で割り振られますから、大会派が圧倒的に多くの委員長ポストを手中に収めるわけです。

これだけ聞くとやはり「議会は数」で、大会派・多数派がゴリゴリと進められるような印象を受けます。

しかしながら、昨日も解説した通り、「議会の知恵」が随所に散りばめられていることで、委員長はその権限を自由自在に使うことはできません。

仮に「強行採決」を連発するような前例を作ってしまえば、次の選挙で多数派が逆転したときに、強行採決を連発される理由を作ってしまいますから、そうした「反転可能性」を考えても、委員長が強権を振るうことは悪手です。

加えて、委員長は強大な権限と同時に、委員会運営に対する重大な「責任」を負います

今回のように議論がスタックし、職員が大勢帰れないような事態が続けば、それは一義的には委員長の責任ということになり、庁内や世論から厳しい評価が下されます。

だからこそ委員長は、他の会派をなだめたり透かしたり脅したり(?!)しながら、なんとか委員会運営を前に進めていかなければならず、そこに少数会派でもプレゼンスを発揮し、意見を反映させるチャンスが生まれるわけですね。

今回は悪い言い方をすれば、委員会の開催が「人質」のような形になって、少数会派たちの交渉力の源泉になっているようなところがあります。

もちろん残業が発生することはよくないので、18時など終わりを決める必要はありますが、こうした様々な要素で議会内の意思決定が進んでいくことは悪いことばかりではありません。

議会のパワーバランスというのは考えれば考えるほど興味深く、先人の知恵が散りばめられているなと、こういう局面になると改めて随所で感じるところです。

…しかしいい加減に決着をつけなければ、働き方改革も何もあったものではないので、昨日のブログ顛末に戻るわけですが。。

さて、そうこうしているうちに間もなく0時。また経過はSNS等でも追ってご報告いたします。

それでは、また明日。


編集部より:この記事は、あたらしい党代表、東京都議会議員、音喜多駿氏(北区選出)のブログ2019年2月15日の記事より転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はおときた駿ブログをご覧ください。