たくさん努力しているのに、なかなか人生が上手くいかないと感じている人は少なくない。ではなにが必要か。今回は、『たった一つの偶然から人生は劇的におもしろくなる!「人・お金・成功」が舞い込む世界一シンプルな絶対法則』(大和出版)を紹介したい。
著者はコピーライター/講演家として活動する、野呂田直樹さん。2017年、「Naoki~Time is Life~」にて、「第16回モナコ国際映画祭」最優秀作品賞、特別賞をダブル受賞している。
観察力を養うと見える世界が変わる
(野呂田さん)「あるとき、プロ野球で大活躍している投手の特集をテレビで見ました。一番印象的だったのが、彼の観察力です。『野球の1試合あたりの時間はどんなに長くても3時間ほど。試合以外の時間のほうが圧倒的に長い。その時間を使って何ができるか、何を考えて過ごすかによって結果というのは大きく異なる』と言っていました」
(同)「そして、『例えば、先輩と食事に出かけた際、気配り目配りができる選手は大抵野球でも結果を出すんですよね』という発言が腑に落ちました。これって、当たり前にできる人にとっては、普通すぎる話かもしれないけれど、実はそれができない人が多いのも事実なんですよね(周りが見えていないということです)」
その投手は、観察力を養うことで、野球の試合に臨んだときに、相手打者の些細な動きの変化に気がつくと言う。「さっきの打席よりもバットを短く持ってるな」「1歩後ろに下がって打席に立ってるな」とか。それに気づくことができれば、相手の意図も察知することができ、それによって投球を変えることが可能になる。
(野呂田さん)「観察力を養っていない人間は、細かな変化を感じ取れません。小さな気づきの差が大きな結果の差を生むということなのです。私の場合だと、例えばライティングも似たようなことが言えるなと思います。いざ文章を書くときだけ頑張るのではなく、普段から相手の動きや考えを意識し観察し、感じ取る力を養っているからこそ、どんな表現をしたら相手によりわかりやすく伝わるかが、イメージしやすくなるのです」
(同)「つまり、仕事をするときだけじゃなく、日常生活すべてにおいても観察力を養うと、常に些細な気づきを得て進化することができるのです。そして、その積み重ねがいざという時の勝負どころや仕事でいつでも発揮できるようになります。あなたもぜひ、この観察力を養う習慣を身につけることをおすすめします」
観察力を養うにはなにをすべきか
観察力を養うにはなにをすべきか。すぐにできる方法として、職場の飲み会の幹事をおすすめする。幹事は、雑にやれば誰にでもできるが、本気でやれば能力を高めるよい機会となる。職場の飲み会で日程や参加者の調整をするのは、ちょっとした規模の会議を設定したり運営するよりも難易度が高い。観察力が必要とされるからである。
幹事は結構な手間がかかることは間違いない。「いつも同じ店では味気ない」「喫煙と禁煙の割合が半々」「イタリアン専門店だが焼酎が置いてある」など、様々な意見を聞いて集約しなければいけない。予算や料理などニーズに合ったお店をチョイスしなければいけないが、日頃からの職場での観察力が大切であることは言うまでもない。
さらに、乾杯・挨拶の人選や事前の根回し、お店との交渉、お金の徴収に留まらず、余興などのイベントの企画・実施を取り仕切る。これらは、ヒト、モノ、カネ、情報を自身の判断でコントロールし、手伝いをしてくれる人に指示をしながら、参加者の満足を実現する。ちょっとしたビジネスの縮図ともいえる。
観察力を高めるために、飲み会の幹事を引き受けてみてはいかがだろうか。期末に向けて、慰労会やキックオフミーティングが開催される。これを新人に任せるなどもったいない。学習の機会ととらえて、あなた自身がミッションを遂行すべきだ。
尾藤克之
コラムニスト、明治大学サービス創新研究所研究員
[本書の評価]★★★(73点)
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★★★★★「レベル5!家宝として置いておきたい本」90点~100点
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★★★ 「レベル3!期待を裏切らない本」70点~80点未満
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