タクシーという時代遅れのサービス

内藤 忍

以前にも書きましたが、海外から日本に帰国すると、タクシーというサービスが既に時代遅れの輸送ビジネスになっていることを痛感します。

今回出かけた、イギリスのロンドンでもウクライナのキエフでも、移動にはほとんどUBER(ウーバー)を使いました。

携帯のアプリをダウンロードしておくと、自分の位置が地図上に表示され、目的地を入力すると、車のクオリティによって料金が表示されます。車を選択すると、地図上に車が向かってくる様子がリアルタイムで動いて表示され、到着までの予想時間がわかります。

このサービスとタクシーを比較すると、圧倒的にウーバーが優れていることがわかります。

まず、タクシーは料金が事前にわからないので乗車する時に不安があります。特に、土地勘の無い観光地に行ったりすると、回り道されたりするリスクもあります。最初に価格が提示されていれば、高いと思えば乗らないという選択をすることもできます。

そして、タクシーはドライバーの評価がありません。だから、どんな運転レベルのドライバーなのか乗ってみないとわかりません。ウーバーは、過去の利用者の評価がアマゾンのレビューのように点数化されています。評価の低いドライバーは乗車されないようになりますから、丁寧な応対を心がけ、車内を清潔にして、正確に目的地に運ぶインセンティブがあります。日本のタクシーで対応が悪い場合は、近代化センターにクレームすることになりますが、面倒です。そもそもそんなタクシーには関わりたくないというのが本音です。

さらに、タクシーは目的地をドライバーとコミュニケーションして、伝えなければなりません。特に言葉の通じない海外では、これは致命的です。例えば、ウクライナ語しか話せないキエフの運転手に、日本人旅行者が正確に行きたい場所を伝えるのは、間違えるリスクも高いですし、ストレスがかかります。

それに加え、ウーバーは支払いが事前に登録されたクレジットカードで、サインレスです。領収書は降車するとメールで送られてきます。カードが使えないタクシーだと現金の用意が必要になります。また、日本のタクシーは未だにクレジットカード利用でサインをさせるので到着してから精算に時間がかかります。

日本人が日本でタクシーを使っていても、ストレスフルなことがたくさんあります。外国人の立場になると、さらに不安が高まると思います。

日本にもウーバーはありますが、実質はハイヤー会社の配車サービスで、タクシーよりも料金は割高です。誰でもドライバーになって営業できるようなタクシーの規制緩和は、業界団体の圧力で短期間には実現が難しいかもしれません。しかし、せめて普通のタクシーもウーバーの仕組みで使えるようになると、外国人観光客だけでなく、日本で生活する日本人にも便利で安心です。

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※内藤忍、及び株式会社資産デザイン研究所、株式会社資産デザイン・ソリューションズは、国内外の不動産、実物資産のご紹介、資産配分などの投資アドバイスは行いますが、金融商品の個別銘柄の勧誘・推奨などの投資助言行為は一切行っておりません。また、投資の最終判断はご自身の責任でお願いいたします。


編集部より:このブログは「内藤忍の公式ブログ」2019年2月27日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。

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資産デザイン研究所社長
1964年生まれ。東京大学経済学部卒業後、住友信託銀行に入社。1999年に株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)の創業に参加。同社は、東証一部上場企業となる。その後、マネックス・オルタナティブ・インベストメンツ株式会社代表取締役社長、株式会社マネックス・ユニバーシティ代表取締役社長を経て、2011年クレディ・スイス証券プライベート・バンキング本部ディレクターに就任。2013年、株式会社資産デザイン研究所設立。代表取締役社長に就任。一般社団法人海外資産運用教育協会設立。代表理事に就任。