妥協を忘れた断絶社会

英国のEU離脱問題が揺れています。3月29日に離脱する予定ですが、いまだ何ら決まらず、様々な案がテーブルの上にのせられています。挙句の果てにラストミニッツのイベントの結果次第でフローチャートのごとく、選択肢を狭めていく方式をとるようです。つまり、3月12日に現行離脱案を採決、否決なら13日に合意なき離脱案を採決、これが否決なら14日に交渉の短期延期を採決する、というものです。

ここまでくると冗談のような世界ですが、私はこのトレンドが世界中に蔓延しつつあると思っています。英国でモノが決められなくなったことは現代社会の病として極めて重要なシグナルを我々に送っています。

(写真AC:編集部)

(写真AC:編集部)

アメリカ。すでに2020年の大統領選挙に向けた動きが出てきました。トランプ大統領を弾劾するという大それた発想はいったん引っ込め、あと2年弱、我慢し、うち1年は熱い大統領選で盛り上がればストレス解消さ、といったところでしょうか?私が懸念するのはアメリカの大統領選挙を通じてアメリカ国内により明白な断絶ができることでしょうか?

そしてそれよりももっと注目しているのは野党民主党から次々と大統領候補者が立候補表明をする傾向であります。これは一本化出来ないところに妥協ができない社会が生まれつつあるとみてよいかと思います。私が予想する大統領選は民主党の自滅で終わる可能性を指摘しておきたいと思います。それは英国と同様、民主党側の考えが一本化できず、微妙な点での妥協を許さなくなりつつあるからです。

「好き嫌いをはっきり言え」というのは我々が英語を習い始めた時、最初に習うことでした。リンゴが好きなのか、バナナが好きなのか、選ばねばならないというのは民主主義的発想を個人の嗜好まで組み込んだ究極の選択であります。数値的に言えばバナナ49%、リンゴ51%なので私はリンゴが好きだと決定し、そう思い始めた瞬間、バナナを排除しなくていけないことになります。何が何でもバナナを嫌い続ける、これが地球上で今、起きていることです。

沖縄の県民投票。玉城デニー氏は罪深い人だと思います。県民の半分近くは潜在的にYESだったはずです。それなのに県民をYES派とNO派に色別し、県のコミュニティでNO派がYES派を虐める(その逆も含め)ような県民の一体感を損ねることを増長させたのです。これは上述のバナナとリンゴの話と同じでそこまで明白な意識を持っていなくても色は二色しかない(どちらでもないという選択肢はもっと嫌われるかもしれません)から「踏み絵」をさせたといってよいでしょう。

韓国が日本を歴史的に何時までも引っ張るのは儒教的精神に基づき、親が子に思想を強制させ、それを子供が「そうなんだ」と思い込むところからスタートします。親や学校教育が洗脳し続ければ子どもの脳はすぐに色づきます。では多くの韓国の学生や生徒諸君に聞きたい、あなた方はどれだけ自分で歴史の勉強をしたのか、と。1965年の日韓基本条約の中身を知っている若者は驚くほど少ないのは都合よい情報だけを流した当時の韓国政権の責任でもあります。

この原因をもっと探ると私はSNS社会が生み出した断絶だと思っています。あの短文の中ですべてを詰め込むことは難しいのですが、書き手の強い意思表明をすることでよりフォロワーが増える傾向にあることは事実です。つまり、必要以上にトーンを強めることが現代社会の傾向であるともいえるでしょう。

この私のブログもかつて転載先ではタイトルが見事に変えられていました。それが書き手の意思とは乖離するようなより強いトーンになっているのはタイトルで読者層を拾うというテクニックがあるからでしょう。刺激を求めるなら激辛の食べ物だけにしてもらいたいところです。

では今日はこのぐらいで。


編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2019年2月27日の記事より転載させていただきました。