保有するのではなく、利用したい時間だけ借りるというシェアリングエコノミーが世界的に広がり、それによって既存のビジネスが大きな影響を受けています。
例えば、UBER(ウーバー)が台頭し、タクシーは時代遅れなものになりつつあります。レンタカーではなく、個人間で車を貸し借りするカーシェアも広がってきました。
宿泊施設もホテルや旅館ではなく、AirBnB(エア・ビー・アンド・ビー)のような民泊の利用が増えてきました。また、飲食店に行かず、スペースマーケットで時間貸しの部屋を借りるといった流れも出てきています。
民泊や時間貸しビジネスをやるときにネックになるのが、利用者へのカギの受け渡しです。オートロックがあるような物件の場合、玄関にキーボックスを吊るすといったことができず、授受が難しくなります。
そんな、問題解決の方法として開始したのが、キーステーションというサービスです。これは、コンビニの店頭に置いてある鍵の受け渡しが暗証番号で簡単にできるサービスです。
私が六本木で運営しているスペースマーケット掲載の「会員制」時間貸し物件は、メトロ日比谷線六本木駅にあるファミリーマートに設置されたキーステーションを使っています(写真)。
スペースマーケットで利用予約をした人は、運営会社からキーステーションの場所と6ケタの暗証番号をメールで知らされます。コンビニに入って、キーステーションで番号入れると、鍵を取ることができます。スペースの利用が終わったら再び同じコンビニに戻り暗証番号入れて、鍵を返却する。このような仕組みになっています。
しかし、日本においてはこのようなシェアリングエコノミーの利用は、思うように伸びていないようです。六本木のキーステーションは、30本以上の鍵が預けられるようになっているのに、現在使われているのは、私の物件を含めて2つしかありませんでした。
その阻害要因は、シェアリングエコノミーに対する感情的な恐怖感と、既得権益の壁です。
マンションの管理組合などには、相変わらず「シェアリングエコノミー=悪」という偏見があるようです。新民泊法はエア・ビー・アンド・ビーの掲載件数を大きく減らす方向に「規制強化」しましたし、ウーバーは、タクシー業界の参入阻止の圧力のせいか、日本では相変わらず単なるハイヤーの配車アプリという地位に甘んじています。
既得権益が守られ、世界的なトレンドから取り残される日本。シェアリングエコノミーの普及を妨げる、先入観や偏見を修正し、規制を安全性に配慮しながら迅速に緩和していくことが、必要だ。キーステーションの利用状況を見ながらそう思いました。
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編集部より:このブログは「内藤忍の公式ブログ」2019年3月3日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。