今度は回復で勇気づけて!清原和博さんの言葉に感涙

田中 紀子

愛知、大阪と続いた厚生労働省が手掛ける依存症啓発イベントのフィナーレとして、昨日、東京でトークショーと音楽イベントが行われました。

誤解だらけの依存症 in 東京

そこにサプライズで、あの清原和博さんが登壇されたのです!
もちろん私たち実行委員会のメンバーはこの企画を聞いてはおりましたが、それでも始まるまで「どうなることやら…」と心配でなりませんでした。

NHKニュースより:編集部

清原さんが一体どんなことをお話しになられるのか?
清原さんがご登壇されるとのことでマスコミが殺到していたのですが、一体、マスコミの皆さんはどんな風に取り上げて下さるのか?全く予想がつかなかったからです。

けれでも蓋を開けてみたら、内容が素晴らしかった!
清原さんから当事者として重みのある言葉を頂けて、私たち当事者・家族は思わず涙いたしました。

清原さん、公の場にでていらっしゃるの勇気がいったと思うんですよ。
あれだけマスコミに叩かれたわけですから。
それでも、何故登壇して下さったのか?

トークショーは、薬物依存症の第一人者であられる精神科医の松本俊彦先生がインタビューする形で進められました。
松本先生が「厚労省のオファーに驚かれたのでは?」と伺うと、「逮捕されて3年。こつこつ治療してきて厚生労働省に認められたと思うと嬉しい」とおっしゃり、その上「自分のように苦しんでいる人のためになればと思いすぐに決めた」とのことなんです。この言葉は本当に嬉しかったです!

依存症問題で、私たち当事者・家族が何が一番辛いかと言えば、一度依存症で失敗してしまうと、社会から排除され、なかなか再起が受け入れられないことです。そのため依存症者は、姿を隠しひっそりと過去のことをひた隠しにしながら生きていくしかありません。そして依存症者はますます誤解され、人物を理解して貰えず、恐ろしい人のように思われ、回復施設が各地で排斥されてしまったり、就職などでしばしば不利益をこうむります。

だからこそ回復し社会復帰を果たした、我々のような人間は、あとから続いてくる仲間達のためにも、堂々と社会で居場所を作り、顔をあげている姿を見せる必要があると常々思っています。その姿を見るから、苦しみの中にある人達が勇気をもって、回復をつかむことができるんだと思うんですよね。

ところがこれが違法薬物の場合は非常に難しいのが日本の最大の難点です。
回復しても社会に受け入れられず居場所がないのであれば、回復しようなんて思えません。むしろ怖くてますます依存が手放せなくなります。

だから清原さんが「自分と同じように苦しむ人のために登壇した」と、おっしゃって下さったことに、私たちは感激せずにはいられなかったのです。

私も会場で思わず涙しましたが、イベントは同時中継でYoutubeで配信されていたので、そちらで見ていた仲間達からもLINEで、「思わず泣きました」「涙が止まらなかった」と、感謝の言葉が続々と寄せられました。

そして心配していたマスコミさんの反応ですが、どこも温かい応援メッセージにあふれた記事にして下さっていて、こちらでも私たちは大感激!こんなこと初めてじゃないでしょうか?

「少しでも自分のように苦しんでいる人のためになれば」 薬物依存と闘う清原和博が語ったこと(バズフィードジャパン)

清原和博さん、薬物使用「苦しみの日々だった」 啓発イベントに出演 元プロ野球選手(毎日新聞)

清原和博氏が薬物啓発イベントに登場 自らの体験から薬物の恐ろしさ語る(東京スポーツ)

そして圧巻は、NHKの「ニュース9」さんでした。
女性キャスターの桑子真帆さんがまず
清原さん、今度は依存症と闘う姿で、同じ悩みをもつ依存症の方々を勇気づけて欲しいと思います
それを受けて男性キャスターの有馬嘉男さん
「本当にそうですよね。依存症という言葉に意志が弱い方がなるんじゃないか?とそんなニュアンスを感じる方がいらっしゃるかもしれませんが、これ誤解ですよね。回復可能な病気です。必要なのは適切な治療と支援です。

すごい!NHKさんがニュースでこんな風に依存症を語ってくれるなんて!
さすがスーパースター清原和博さん。
回復の姿も超ド級の扱いで、私たちを助けて下さいました。

清原さん、本当に有難うございました。
これからもますます回復について語って下さい。
そしてどうか私たちを助けて下さい。


編集部より:この記事は、公益社団法人「ギャンブル依存症問題を考える会」代表、田中紀子氏のブログ「in a family way」の2019年3月6日の記事を転載しました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は「in a family way」をご覧ください。

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