日銀は3月19日に資金循環統計(2018年10~12月期速報値)を発表した。これによると個人の金融資産は昨年12月末時点で約1830兆円となり、6月末の約1859兆円からは減少した。これはリーマン・ショックがあった2008年末以来、10年ぶりの前年末比減となったようである。個人の金融資産の内訳は、現金・預金が前年比で1.6%増の約984兆円となっていたのに対し、株式等が同15.3%減の約175兆円、投資信託は12.4%減の約67兆円となっていた。欧州や中国を主体とした世界経済の先行き減速懸念などによる年末にかけての株価の下落が影響したとみられる。
この資金循環統計を基に国債(短期債除く)の保有者別の内訳を算出してみた。
残高トップの日銀の国債保有残高は466兆1179億円、46.0%のシェアとなった。前期比(速報値)からは11兆4829億円の増加となる。
残高2位の保険・年金基金は238兆1289億円(23.5%)、5兆3437億円増。
残高3位は預金取扱機関(都銀や地銀など)で152兆9809億円(15.1%)、1兆2855億円減。
残高4位が海外投資家で64兆7628億円(6.4%)、5兆6526億円増。
残高5位が公的年金の45兆5028億円(4.5%)、1996億円増。
残高6位が家計の12兆9637億円(1.3%)、1057億円増。
その他が32兆6420億円(3.2%)、3兆2297億円減となっていた。
2018年9月末に比べ国債(短期債除く)の残高は18兆2693億円増の1013兆990億円となった。昨年の6月末に短期債を除いた国債残高が1000兆円に迫ったが1000兆円を超えることはなかった。手元の数字ではあるが、短期債を除いた国債残高がこの資金循環統計からはじめて1000兆円を超えてきた(こちらの国債残高は時価ベース)。
9月末に比べて大きく増加したのは、国債を大量に買い入れている日銀で、シェアは4割を上回っている。今回、前期比で減少したのは預金取扱機関(都銀や地銀など)。
短期債を含めた国債全体の数字でみると残高は約1111兆円となり、日銀が約478兆円で43.0%のシェアとなっていた。海外勢の残高は約134兆円と短期債を含めると国債全体の12.1%のシェアとなっていた。
編集部より:この記事は、久保田博幸氏のブログ「牛さん熊さんブログ」2019年3月25日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方はこちらをご覧ください。