あなたは上司とウマが合わなかった。毎日のように叱られて、精神的にもかなりしんどい思いをしている。「ちくしょう。なんで、俺ばかりがこんな目に!」。さらに、オーバーワークでミスを連発。上司は怒り狂い、同僚や部下の冷たい視線がつらすぎる。「絶対にゆるさない。仕返しをしてやる!」とあなたは決意を固めた。
今回は、『ダメなときほど運はたまる~だれでも「運のいい人」になれる50のヒント~』(廣済堂出版)を紹介したい。著者は、コメディアン、タレント、司会者、演出家として活動する、萩本欽一さん。
仕返しすると運は消えていく
欽ちゃんは、「運をためるチャンスって 日常にいくらでも転がっているんです。なにかちょっとでもつらいこと、苦労することがやってきたとき確実に運はたまっています。ところがたいていの人は、その運をつまらないことで使っちゃう」と指摘する。
これは、いやなことがあると愚痴をこぼしたり、ヤケになったりすること。たとえば、仕事場で上司に注意されたら·その瞬間に運は少したまっている。しかし、上司に腹を立てて、「くそっ、今日は飲んで帰るぞ」なんてことをすると、たまった運は消えてしまう。しかも、飲んでるあいだにぐちぐち言ってたりすると、運はマイナスになる。
あなたの周囲を見渡してほしい。飲み屋で愚痴をこぼしたり、上司批判をしている人に成功者はいないはずだ。さらに、欽ちゃんはつづける。「そのあと、夜遅く家に帰ってきたことを奥さんにとがめられて、『うるせーな、何時に帰ってこようが俺の勝手だろうが!』なんて当たり散らすと、ますます運がマイナスになっちゃう」。
せっかく運がたまっても、つまらないことで運をつぶしてしまう。いやなことがあったとき、仕返しをしているといつまでたっても運はたまらない。
「家族に文句を言われたり会社で怒られたときは、だれにも仕返ししないで耐えていれば運はたまっていきます。課長に怒られたらブラス100、部長に怒られたらプラス200ぐらい運がたまるな、と考えていれば100円貯金みたいで楽しいですよ」(欽ちゃん)
「そのうち運が積もり積もってでっかい仕事が自分に回ってきます。そのときがきたら積極的に手をあげてこう言えばいい。『その仕事、僕にやらせてください』。理由を聞かれたら『運がたまっているからです』。こうやって始まった仕事は成功します」(同)
運のいい人になるには
欽ちゃんは、大学や高校を卒業していなくても稼げる仕事を3つ考えたそうだ。野球選手、映画スター、コワモテのお兄さん。野球選手は無理、気が弱いのでコワモテのお兄さんにもなれない。残りは映画スターになるが、当時の銀幕は二枚目が全盛の時代。主役は難しいが脇役で喜劇人ならなれるかもしれないと思った。
修業時代に「おまえは才能がない」と芸人失格の烙印を押された経験をもつ欽ちゃんが自分に自信を持てない人たちに自信と勇気を与える一冊。「僕は運だけで生きてきたんだ。だから運については一家言あるの」。1970年代にコント55号でブレイクし、その後30%台という驚異の高視聴率番組を連発してテレビ界を席巻した欽ちゃんの格言とは何か。
尾藤克之
コラムニスト、明治大学サービス創新研究所研究員
<筆者新刊情報/4月18日発売予定>
『波風を立てない仕事のルール』(きずな出版)
[本書の評価]★★★★(80点)
【評価のレべリング】※標準点(合格点)を60点に設定。
★★★★★「レベル5!家宝として置いておきたい本」90点~100点
★★★★ 「レベル4!期待を大きく上回った本」80点~90点未満
★★★ 「レベル3!期待を裏切らない本」70点~80点未満
★★ 「レベル2!読んでも損は無い本」60点~70点未満
★ 「レベル1!評価が難しい本」50点~60点未満
星無し 「レベル0!読むに値しない本」50点未満