あいた口が塞がらない。
その去就が注目されていた、3月31日付で退職する野田数東京都知事特別秘書の再就職先として小池百合子知事が東京都の外郭団体社長に推薦をすると定例記者会見で明らかにしました。それだけでも驚愕ですが、ここ数年不祥事が続く水道局における、しかも昨年10月身内同士での交際費の不適切使用、検査の改ざんなどが発生し特別監察が入った同局外郭団体東京水道サービス(以下TSS)というのだから、常軌を逸した異常人事と言わざるをえません。
野田数という人物
彼の経歴はネット検索すればわかると思いますので割愛しますが、私が直接見て来たこと、されてきたことを明らかにしたいと思います。
小池百合子知事を一番最初に応援を決めた都議は私でした。2016年都知事選直前に江戸川区内の保育園を案内したことがきっかけとなり「ファーストペンギン」のファーストペンギンとなり、知事当選、そして都民ファースト立ち上げへと都民最優先の都政を願い奔走したのです。
知事選前は、「上田先生」と腰の低かった小池知事の「個人秘書」であった野田数氏は、知事当選後特別秘書となり、その態度は豹変します。まず、私が代表を務める地域政党自由を守る会の解党を「東京に地域政党は、一つでいい!!」と再三再四迫る、上田一般質問の内容のチェックをし、公務員給与UP議案に、ブレず反対した時は大変な叱責を受けました。
決して屈服しない私に業をにやしたのか、いよいよ、2017都議選直前、公認を出さないぞという半ば脅しに近い、選挙前の議員の足元を見て自由を守る会解党を強要されたのです。所属議員もメンバーもおりましたが、泣く泣く解党届を出し、その写しを特別秘書のいる知事室に持参することも求められたのでした。この時の非常に屈辱的な思いは生涯忘れません。
そこまでしても、嫌がらせは続きました。「500名以上集めなければ小池は集会へはいかせない」と条件を出すので、広い会場を抑え早めに地域住民に広く呼びかけをしなければならないのに、都議選挙前の上田令子決起集会の日程については、他の候補の日程は続々と決めていく中、ギリギリまでわからないと焦らされ、支援者に心配をかけ、嫌がらせとしか取られかねない対応をされました。
人の不安に付け込むなぶり殺しともとられかねないような行為に及びながら、この間都民ファーストの公認が欲しい民進系メンバーが野田氏を囲んでの六本木のクラブでの饗宴も週刊誌報道にもなったところです。
「「小池新党」を牛耳る最側近の「六本木ハレンチ豪遊」」(Newsポストセブンより)
ちなみに、野田氏は2016年秋以降、私からの電話には一切応じず、その後はも当時の「かがやけTokyo」(2017年1月「都民ファーストの会」と改称)幹事長の都議を介し、その指示や「御意向」が恭しく伝えられておりました。まれに、知事室応接室に呼び出されて「お説教」されることがあり、都議会棟と知事室のある第一庁舎へ向かう回廊を陰鬱な気持ちで歩いたこと、今も虫唾が走る記憶です。
立場が変わると態度が豹変する、まさに、小池百合子という「権力者」の虎の威を借る狐そのものでした。
このような人物が、特別秘書に就任、特別公務員として、公務をしているのかどうかの倦怠管理もないまま政治活動に口を出し、その給与が知事給与とほぼ同等で都議会議員よりも多いことをかねてよりオカシイ!と指摘をして来ました。
(上田blog『リストラするなら特別顧問より年収1.4千万円特別秘書が先?!』是非ご一読下さい。)
問題山積の水道局・外郭団体への問題視人事推薦
特別秘書であるだけでも首をかしげておりましたところ、3月29日の小池知事定例記者会見で、顎が外れる様な発表がなされたのです。
小池知事「長年、私の、最初から特別秘書として活躍してくれました野田数さんでありますが、今月末をもって退任いたしまして、監理団体であります東京都水道サービス株式会社、TSS。御承知のように、TSSという東京都水道サービスとPUCという料金を集める会社とが今後、合併する流れになっているわけでございますが、野田数さんには、このTSS、東京水道サービス株式会社の社長に推薦していきたいと考えております。」
耳を疑いました。その理由が
「残念ながら、水道局に公取が入ったり、さまざま課題(中略)今後、東京水道サービス株式会社と株式会社PUCとの統合をしっかり進めていかなければいけないという局面でございますので、会社の改革、統合を強力に推進していく人材として、野田氏を推薦していきたいと考えている」
というのです!!さすがに記者から「天下りではないのか?」と指摘されたところ
「議会の中でも、『天下りは駄目』とか、『これまでの流れは駄目』という話がありましたけれども、私は、天下りには当たらないと思います。まさしく適材適所で選んだ」
と開き直る始末。
おまけに
「これまでとは違う流れの人、水道ですから、「流れを変えろ」というのは、一つ大きなポイント。」
笑えない諧謔的な言葉を使いはぐらかす。さらに記者に「なぜ野田氏なのだ」と詰め寄られますと
「コンプライアンスであるとか、内部統制というのが大きな課題になっている中で、強力な牽引役が必要」
と畳みかける。
水道局は、2012年9月に飲食接待を受けた職員が逮捕・起訴され、2013年9月に職員が元職員及び工事事業者が情報漏洩をする事件が立て続けに発生し、さらに昨年10月に当該局発注業務の見積もりの情報漏洩による談合の疑いで、公正取引委員会の調査がはいり、さらにさらに、今般2月には外郭団体TSS不適正事案により、特別監察が入るという、尋常じゃない事態が発生しております。(過去blog『他にもあった!都水道局外郭団体TSSのお粗末事案』ご参照)
野田氏TSS社長就任の3つ問題点
そのような外郭団体へよりにもよって野田数氏が就任するということに、都議会・都庁関係者のみならず都民も驚愕しているのではないでしょうか?!問題点は山ほどありますが、現時点3点あげさせていただきます。
疑問その1
技術にはまったく門外漢の野田数氏が社長に就任して果たして務まるのか。
TSSは、「水道局と一体となって、民間事業者への指導など、民間事業者への委託になじまない水道事業の基幹的業務を担い水道事業に対する豊富な経験や高い技術力を有している監理団体に担わせることが不可欠」としています。実務研修や資格取得支援等の取組を推進し、将来の管理監督職候補の育成に努めており、「水道技術継承・育成」というのが大きな目的。つまり技術者集団育成外郭団体なのです。
あまり褒められたことではありませんが、それまでは東京都事業で局長まで上り詰めた都政の実績のある人材が歴代社長に就任していました。だいたい天下りを指摘すると役所というのは「余人をもって代えがたい」というものです。今般、わずかな社会人経験、議員秘書、市議会議員(1期務めず辞職)、都議1期の経験値しかない野田数氏は、「余人をもって代えがたい」と言い訳できる要素がまったく見当たりません。技術面および経営面のガバナンスが出来るのでしょうか?
疑問その2
血税を交際費にあてていた「関係団体や受注工事会社との不適切な関係」が特別監察で指摘されているのに、前述したように、不適切とも思える都民ファースト公認内定者との饗宴が報道される人物が「適材適所」な人材なのか?
TSSに残っている記録では、少なくとも2012年度以降、TSSから業務委託をし、人材派遣もTSSへしていた土木系協力会社との飲食を伴う会合を行っており、同社の社員の飲食代を交際費から支出していました。その交際費の支出は、平成24年度から現在までで約392万円。また、当該会合へは、主に同社の取締役や部長級の都OB社員及び都から派遣されている職員が出席していました。
業務委託もしてくれて、人件費まで支払ってくれるとなれば、接待のひとつもしたくもなるものです。さすがに都の関係者が協力会社に経費は払わせることはできないものの、懇親はどうしてもしたくなるのが人情。協力会社にTSSは、人件費も委託料も払って、血税を還流して交際費にあてていたわけです。
野田氏は、かつて都民ファーストの公認権をちらつかせて、私には自由を守る会解散を迫り、民進系メンバーには接待したかされたかわからない高額であろう交際費をどこから捻出したかわかりませんが使ったわけです。知事が期待される「強力な牽引役」は、不正や癒着や天下り体質を質す方向に果たして向くのか?
力関係で上位に行くと態度を急変させる野田氏に権威や権力権限を与えては、どのようにその力を振りかざすかと思うと、無辜なるTSS社員を思いゾッとするのは私だけではないはずです。その意味では「強力な牽引役」となることは間違いないでしょう。
疑問その3
野田氏が社長に就任した場合、その給与はいくらなのか。
特別秘書時代は、常勤しているか確認できないまま14,223,075円の報酬を得ていました。私は公営企業委員会所属なので先の予算審査でTSSの給与の実態を質しておりました。詳細は以下です。
・TSSの2017年度の人件費総額は、88億7千万円
・年間の平均給与は、管理職649万円、非管理職497万円、非常勤283万円
・また、最高額が支給されているのは都OBの社長
つまりTSSでは、野田氏が社長就任の暁には最高額の給与が約束されているということです。
TSSは、全職の都関係者の占める割合が3割であるにもかかわらず、管理職はほぼすべて、また課長級職員の9割が、都関係者であり、また再雇用・非常勤社員の8割が都関係者という驚愕のいびつな人事階層・構造となっており、さらに私は、都関係者職員と固有職員の平均給与と最高額を確認していました。
・都から派遣されている職員の平均年収は、832万2千円であり、最高額が支給されているのは取締役
・また、固有社員の平均年収は479万4千円であり、最高額が支給されているのは課長
・金額については、個人を識別することができる情報のため、お答えを控えさせていただく
平均で都民垂涎の832万円なのですから、その最高額を鑑みますと一千万プレーヤーであることが想定されます。金額は明らかにできないということですが、ここは小池知事は推薦するからには、堂々と「情報公開」しなければならないと指摘しておきます。
小池百合子側近人事の象徴
小池知事の側近人事の特徴は「税金を活用している」ところがポイントです。
問題1 件の野田数氏
野田数氏のこれまでの小池知事にまつわる去就を見てみましょう
小池百合子氏私設秘書→都民ファーストの会代表→血税を使った東京都特別秘書→血税が流れる東京都外郭団体の社長
問題2 現都民ファースト会派事務総長小島敏郎氏
環境省官僚OBで環境大臣を務めたこともある小池百合子知事の肝いりで、東京都の特別顧問に就き、その後市場問題プロジェクトチーム(PT)の座長を務めていたものの、都の行政部門の専門委員から議会側の都民ファーストの会政調会事務総長に突如として「転身」しました。いずれも公費、税金です。
問題3 小池百合子個人事務所職員の都議会会派都民ファーストスタッフ採用
小池百合子事務所の見知った秘書が、公費で賄われる都議会会派の職員にいつのまにか採用されていました。
詳細は、過去blog『都民ァースト会派職員最高月給は65.4万円!』、『謎の都ファ人件費「職員従事協定書に基づく負担金」の支出先は…』で指摘をしておりますが、要は知事就任後側近らを税金で給与・報酬が支払われる立場へ「大抜擢」されているということです。
お姐総括!
ここまで好き放題やるとなるともはや、小池百合子という権力者の東京都、都政、税金の私物化と都民に糾弾されても言い訳も説明もできないと思います。
この事実をもってしても、しれっと
「『天下りは駄目』とか、『これまでの流れは駄目』という話がありましたけれども、私は、天下りには当たらないと思います」
と言い切る小池百合子という政治家の心根の一端が見え、うすら寒い思いがよぎります。
都知事選の時にあれほど、都議会のドン政治をブラックボックスと批判し、癒着や利権を打破する「東京大改革」をうたった人間と同一人物とは思えません。これ以上都民を地方行政を地方議会を愚弄し、都政を私物化させてはならない。
お姐は、暴走を止めなければならない!という強く決意をするものであります。
いよいよ新元号が発表される本日、その去就が明らかになりましょう。
取締役会で野田数氏社長就任を否決しないのであれば、お姐は任期満了まで公営企業委員ですから、よもや野田数社長が誕生した暁には、これまで以上に執拗にTSSを定点観測し新社長の動向を徹底監視、追及していく所存です。
東京都議会議員(江戸川区選出) 白百合女子大学を卒業後、ナショナルライフ保険(現ING生命)入社後、以降数社を経て、起業も。2007年統一地方選挙にて江戸川区議会議員初当選(44名中6位)。2期目江戸川区議会史上最高記録、2011年統一地方選挙東京都の候補全員の中で最多得票の1万2千票のトップ当選。2013年東京都議会議員選挙初当選。2014年11月地域政党「自由を守る会」を設立し、代表に就任。2015年3月地域政党サミット(全国地域政党連絡協議会)を設立し、副代表に就任。公式サイト。