昨日の午後、ある大手マスコミから電話がかってきた。私が「元号を知っていたのでないか」というのである。なぜかといえば、あまりにも早くアゴラに『新元号「令和」が万葉集の梅の花由来を歓迎』という記事を投稿し、さらには、手回しよく『令和日本史記 – 126代の天皇と日本人の歩み』(ワニブックス)という新刊を刊行するのが予告されているからだというのだ。
「ノーコメント」とでも言っておけば面白かったのだが、本当の細かい経緯を言ってしまったので、記事にはならなかった。
まず、アゴラについては、すでに、3月2日に儒教などの中国古典からの引用は止めて欲しいということと、平和や安寧だけでなく前向きな気持ちになるようなものにして欲しいということを書いていた。そして、その希望が受け入れられたかどうかを待ち、すぐに記事にしようと、半分以上、下書きをしていたのである。
はじめは菅官房長官が11時30分から発表するということだったが、3月31日の記事でも指摘していたとおり、陛下・皇太子殿下へのご報告とか、政令への署名がどうなるのかということは謎だった。もちろん、普通の政令でも陛下に報告し署名をもとめる前に発表するから別に構わないし、しかも、事前に案を示しての説明を陛下・皇太子殿下には首相からしてあるのだが、それでは不十分ということになったのかもしれない。
結局、閣議が終わったあと、宮内庁長官と次長がそれぞれ陛下と殿下に説明したらしい。そして、それを待って、11時41分に官房長官から発表された。万葉集からの引用で、しかも、花を愛でる前向きの気持ちがこもった令和が選ばれたので、私の予定原稿はそのまま使えたわけだ。そして、アゴラ編集部に記事を送付したのが、11時47分。そして、アゴラ編集部で記事にしてくれたのが、正午ちょうどであった。
その後、安倍首相の会見が始まる前だったが、菅官房長官の説明でもだいたいのことは分かったし、さらに、スタジオで解説していた元号の専門家である所収先生の文学などの観点から見た安定した整理、それから、安倍首相とは官房副長官時代からの旧知であって、首相の意図についての信頼性の高い解説では定評がある岩田明子記者の説明もなるほどと思うものだったので、それはFacebookのタイムラインにすぐに書き込んだ。
一方、ワニブックスは、午後3時ごろに、拙著の出版予告をAmazonに出した。すべて準備が終わって、新元号を何カ所かにはめ込めばいいようになっている本で、表紙はすぐにつくってAmazonに送付した。
法螺をいえば、「勝手に高い頂の目標にしている司馬遷のパクリ本」です(エイプリルフールの発表だからお許しください)。司馬遷が黄帝からその『史記』の記述を始めているように、神武天皇から新陛下まで126代の天皇と日本人の歩みについての「正史」となるべきものとして書いた。
せっかく出すのだから、新陛下を皇太子殿下と表記しないでいいタイミング、新しい年号を表紙に出せるタイミングを待っていたのである。
内容については、あらためて別の記事で紹介するが、キャッチコピーとしては、
「私たち日本人の歴史はこれまでも、そしてこれからも皇室とともにある! 」
「令和元年に贈る万世一系・日本の正しい歴史、ここに誕生! 」
「この国家が皇室の安定的な存在とともに長い継続性を持ち、安定した歴史を持っているということは、国民としての誇りであり、何にも得難い財産なのである。本書がそれをもう一度、再評価する契機となれば幸いである」
という本書の一部を引用している。