相変わらず、ピエール瀧さんの報道が続いていますが、地上波テレビは、MCやコメンテイターが「正義」のつもりで振りかざす言葉の数々が、実は、様々な問題を生み出していることに気がついていません。
私たち、依存症の支援者、当事者、家族で作る「依存症の正しい報道を求めるネットワーク」では、マスコミの問題報道を是正して貰うために、薬物報道のガイドラインを作成しました。しかし残念ながら、なかなか守って貰えません。
もちろんこのガイドラインに法的拘束力があるわけではないですけど、薬物問題は人の命がかかっていることを地上波のメディアは甘く考えすぎではないか?と、非常に疑問と不信感をもっています。
今回の一連の報道で実際にあった事例を取り上げながら、今一度問題点を振り返ってみますので、関係者の皆様に是非ご覧いただけたらと思います。
薬物報道のガイドラインはこちらから。
今回問題だと思った所をいくつか抜粋して取り上げます。
なぜ、白い粉や注射器を映してはいけないか?
これは今、依存症と闘っている真っ最中の人に、この映像を見せてしまうと、トリガー(引き金)になると言われていて、一瞬にして感覚がよみがえってしまい、また使いたくなってしまうからです。
物質依存じゃない、ギャンブルでもあります。
私も競艇番組なんかみてたら、またやりたくなるので見ないようにしています。
この写真のように説明されたら、むしろやってみたくなりませんか?
これじゃあ、興味をあおってしまっています。
また、話題になったこの発言。
これじゃあ、薬物使ったら飛躍的に能力が上がるみたいじゃないですか。
「受験前に使ってみよう」「試合前に使おう」「コンテストの前に1度だけ」なんて思ってしまう人がいてもおかしくないですよ。ドーピングなんて的はずれもいいところです。
薬物問題を起こした人間は存在してはいけないかのような風潮です。
またこんな莫大な賠償金の話しが当たり前になったら、薬物使いながら働いている人は、ますます絶対に相談もできないしやめられなくなります。
50すぎたおっさんの問題に対して、80過ぎの父親を追いかけまわすって、テレビの方がよほどモラルも人間性も欠けていますよ。一番辛い思いをしてるのがご家族じゃないですか。また、瀧さんのご家族にはなんの責任もありません。
特にお子さんが、静かに生活できるように社会全体で守るべきです。
そしてここにきて取り上げられているのが、
石野卓球さんに関する、「謝れ!」問題。
これに関しては、がっつり2本の記事を書いておりますので、
こちらを是非ご覧下さい。
ワイドショーはためにならなくてもいいですけど、有害な情報は流すべきではありません。
自分たちが間違った情報を垂れ流していないか?
もう少し自覚をもって検証して下さい。お願いします。
田中 紀子 公益社団法人「ギャンブル依存症問題を考える会」代表
競艇・カジノにはまったギャンブル依存症当事者であり、祖父、父、夫がギャンブル依存症という三代目ギャン妻(ギャンブラーの妻)です。 著書:「三代目ギャン妻の物語」(高文研)「ギャンブル依存症」(角川新書)「ギャンブル依存症問題を考える会」公式サイト