「イワタニ水素エネルギーフォーラム東京」に初めて参加しました。衆議院議員時代は、水素エネルギー政策の実務責任者をしていましたが、イワタニフォーラムに参加することは出来ませんでした。気になってはいましたが・・・。会場である東京プリンスホテルに行ってみると1000人以上の方々が集まっていたのです。水素エネルギー社会に対する関心がこれほどまで高いとは、嬉しいものですが、想像がつきませんでした。
ただ、残念なのは、男性率99%ということです。水素も含めて、エネルギー関係のシンポジウムに参加すると正に男の世界なのです。社会に必要性を投げかけるには「水素女子」が多数参加する工夫も必要と思います。因みに一人でも多くの女性に水素の良さを理解してもらうために、僕が講演を行うときは、インフラとしての水素だけでなく、美容・医療・料理の話を必ず入れるようにしています。
米国トヨタの企業戦略企画部長クレイグ・スコットの講演で、カリフォルニア州のLINDE(独のプラントメーカー)が運営する水素ステーションをイワタニが経営権を引きつぎ運営を始めたということ。米国では、港からの二酸化炭素削減に力を注いでいて、トヨタも「Project PORTAL」で協力しており、カリフォルニア州政府から補助金を受け、クラス8のFCトラックを開発している。州政府にとっては港の二酸化炭素削減に繋がるが、クラス8のトラックは多量の水素を消費するので、需要拡大にもつながり、結果として水素の販売価格を引き下げるという規模のメリットが生じる。
日本水素ステーションネットワーク合同会社(通称:JHyM)社長菅原英喜の講演では、自動車の歴史を振り返る中で、自動車のスタートは蒸気自動車(1796年)、電気自動車(1873)、ガソリン自動車(1886年)と開発が進んでいき、1900年代は三つ巴であったという。1908年T型フォードと共にガソリン車の時代に突入。
一方で、1766年水素の発見、1801年燃料電池の原理発見、1839年燃料電池で発電。1874年には、ジュール・ベルヌが「水は未来の石炭」と水素エネルギー社会に言及したという。1987年バラード社(カナダ)がPEFC燃料電池を開発し、自動車に載せられるよう小型化が進んだ。菅原社長いわく「もし石油がなかったら100年前にFCVが出来ていたかもしれない」と。
トヨタ出身の社長ゆえ、トヨタMIRAIについても言及があり、マイナスミッションと言う考え方も披露された。将来のMIRAIは窒素酸化物をろ過する機能を持たせる、という。大気中の空気を吸い、タンクにある水素と結合させて電気をつくっているが、大気を吸い込む時にろ過させるという。今はPM2.5くらいしかろ過出来ていないが・・・。なるほど、大気を良くする自動車、今まで思いもよらなかった世界観です。
水素エネルギー社会は、出来ればたどり着きたいという願望ではなく、政・官・産・学、そして国民が協力してたどり着かなくてはならない到達点になっていると思う。今年度の水素関係政府予算は650億円、僕が水素社会実現の議員連盟をつくった時には、考えられなかった金額です。
金額が多ければ良いという事だけではなく、社会啓蒙の為にも「水素女子」は必要不可欠です。
編集部より:この記事は多摩大学ルール形成戦略研究所客員教授、福田峰之氏(元内閣府副大臣、前衆議院議員)のブログ 2019年4月16日の記事を転載しました。オリジナル記事をお読みになりたい方は、福田峰之オフィシャルブログ「政治の時間」をご覧ください。