あなたは仕事をがんばりすぎていないか。がんばっているにもかかわらず、なかなか成果が出せなかったりしていないか。理由は簡単である。部下に仕事を任せていないからである。今回は『部下に9割任せる!』(吉田幸弘(著)、フォレスト出版)を紹介したい。
部下に仕事を任せるには的確な指示が必要になる。すくなくとも、「いま何について話しているのか」を相手に分かる状態にしておくことが大切である。脈略のない話はストレスを与えてしまう。
わかりやすい伝え方の一つに、キーセンテンスを明確化してワンフレーズで伝える方法がある。これは「一言でいうと~である」と簡潔に整理して伝える方法になる。何を話すかが頭の中で明確化されていないと話をワンフレーズに収めることはできない。
社内を見渡せばいないか。「一言で説明します!」と言いながら、やたら話が長く「この人は結局何が言いたいんだろう」という上司が。部下に聞く耳があるならコミュニケーションギャップの心配はないが、部下が聞く耳をもたなくなったらコミュニケーションは崩壊していく。部下に指示をする前に自分に投げかけることが大切である。
最近の流行で、「ホメて」伝えるものがある。しかし、「ホメる技術」は簡単ではない。そのため、「今回のここが良かった」「前回は○○でよくなかったけど今回は合格」など基準を明確化することも大切である。「ホメる」は意外と相手の心には響かないからである。
マネジメントしやすいチーム作りには、方針を理解させて「ルールを策定する」ことが必要になる。「ルールの策定」は運営のガイドラインの一つではあるものの、他に適したやり方があれば取り入れる。ルールは絶対不変なものではなく、柔軟に運用し状況に応じて改訂すればいいと理解しておけばいい。
本書は、基礎的から応用編まで多数の事例が紹介されている。また、どのような意思決定をすべきかがわかりやすく解説されている。新入社員や新任管理職におすすめしたい。
尾藤克之
コラムニスト、明治大学サービス創新研究所研究員
<筆者新刊情報/4月19日(金)発売予定>
『波風を立てない仕事のルール』(きずな出版)
[本書の評価]★★★(74点)
【評価のレべリング】※標準点(合格点)を60点に設定。
★★★★★「レベル5!家宝として置いておきたい本」90点~100点
★★★★ 「レベル4!期待を大きく上回った本」80点~90点未満
★★★ 「レベル3!期待を裏切らない本」70点~80点未満
★★ 「レベル2!読んでも損は無い本」60点~70点未満
★ 「レベル1!評価が難しい本」50点~60点未満
星無し 「レベル0!読むに値しない本」50点未満