安倍首相の側近として知られる自民党の萩生田幹事長代行が18日朝、DHCテレビ「虎ノ門ニュース」で
6月の数字を見てこの先は危ないとなったら、国民を崖に連れて行く訳にはならいないので違う展開はあると思う。やめるのは間に合う。増税をやめるなら信を問うことになる
などと述べ、統一地方選と衆院補選の終盤に差し掛かった永田町で大きな波紋を呼んでいる。
有本香「自民党から増税反対の声は出ないのか?」
萩生田光一「何度となく声は上がってる。6月の数字を見てこの先は危ないとなったら、国民を崖に連れて行く訳にはならいないので違う展開はあると思う。やめるのは間に合う。増税をやめるなら信を問うことになる」安倍総理の決断に期待してます pic.twitter.com/K2YONbt2Pn
— DAPPI (@take_off_dress) 2019年4月18日
発言はただちに新聞やテレビでも報道。
安倍首相側近が早期解散論=増税見送りも言及、与野党に波紋(時事通信)
野党第一党・立憲民主党では、福山幹事長代行が「解散を堂々と受けて立つ」と強気の姿勢を見せたものの、
増税延期は私たちがかねてから主張しており、当然だ。
信を問うことまで言及した。これは、解散・総選挙のことであると考える。アベノミクスの破綻、失敗を問うということだ。われわれとしては、解散を堂々と受けて立つ用意がある。野党で協力して、安倍政権を倒す絶好の機会を得たと考えている。— 福山哲郎 (@fuku_tetsu) 2019年4月18日
野党協力、言うだけでしょう。
などと早くもツッコミが。
一方、立憲民主党と野党共闘の主導権を争う国民民主党では、玉木代表が日銀短観などの展望をしながら、「政権はバラバラな野党の現状を見透かしている」と冷静に指摘。
3月の短観で既にかなりの落ち込み。このトレンドが続くと次の6月の短観では少なくとも中小企業の製造業の業況判断はマイナスになる。消費税増税先送りを口実にした衆参同日選の可能性が高まったと言える。政権はバラバラな野党の現状を見透かしているのだ。速やかに現状を打破しないと野党は大敗する。 pic.twitter.com/lXE0u2HVre
— 玉木雄一郎 (@tamakiyuichiro) 2019年4月18日
日本維新の会は野党で唯一、萩生田発言を歓迎する独自のポジショニング。松井代表(大阪市長)は増税の凍結とともに、大阪の改革を全国に広げることで税収を補えると、ちゃっかりアピールしていた。
萩生田さんが言うのが至極当然、景気回復に重要なのは個人消費を伸ばす事、増税で消費が縮小すれば、またデフレになり結局は税収減につながり本末転倒の事態になりかねない。一旦は増税凍結すべきです。消費税2パーセント分ぐらいの税収は大阪の改革を全国で実施すれは十分賄える。 https://t.co/OsWUK7qW7i
— 松井一郎(大阪市長) (@gogoichiro) 2019年4月18日
「観測気球」だったとしても、波紋が大きくなりつつあるのを見越し、菅官房長官は翌19日午前の記者会見で「リーマン・ショック級の出来事が起こらない限り、引き上げる予定だ」などと“火消し”に務めた。
【菅氏 リーマン級ない限り増税】https://t.co/FzT0UcaJJh
自民党の萩生田幹事長代行が消費税増税の延期もあり得ると述べた発言に関し、菅官房長官は「リーマン・ショック級の出来事が起こらない限り、引き上げる予定だ」と重ねて強調。政府の方針に変わりはないと説明した。
— Yahoo!ニュース (@YahooNewsTopics) 2019年4月19日
アゴラの池田信夫は、萩生田発言について、『消費増税延期の判断基準は「日銀短観」ではない』という分析を投稿。
異常な状況がいつまでも続くはずがない、と多くの経済学者が思ったが、安倍首相は「ゼロ金利なんだから財政破綻を心配する必要はない」と考えて、日銀が国債をマネタイズする量的緩和を始めた。それはゼロ金利に賭けるギャンブルだったが、幸か不幸かインフレ目標2%は実現しないので、実現するまでこのギャンブルは続けることができる。問題はこの状況がいつまで続くかだ。
ゼロ金利が続く限り将来世代の負担は増えない。国債を借り換え続けても元利合計の負担は増えず、消費が増える分だけ成長して利益を得る。
などと、増税延期の背景に、ブランシャールなどの経済学者が長期停滞に関して画期的な新説を披露していることを踏まえ、独自の見解を示した。
政治ジャーナリストの安積明子氏は、永田町ですでに6月30日衆参ダブル選挙説が出ていることを紹介。
永田町に流れる6月30日の衆参ダブル選挙説(Yahoo!ニュース個人)
終盤を迎えた沖縄と大阪の衆院補選ではいずれも自民党の苦戦が伝えられているが、安倍首相は果たして大勝負に出るのか。平成のうちに、永田町で吹き始めたように見える解散風が本物なのか、ネットもリアルも息を飲んで見守っている。