被災地がつながることの意味

藤沢 烈

この週末は、福島沿岸で行われた「東北リーダーズカンファレンス」に参加しました。福島民報が報じていますので、御覧ください。

一般社団法人東の食の会主催の「東北リーダーズ・カンファレンス」は十九日、Jヴィレッジ(楢葉・広野町)で始まった。東北各地の企業やNPO法人の代表らが集い、新たなビジネスモデルの創出に向け意見を交わしている。最終日の二十日は富岡町文化交流センター「学びの森」で開催し、議論を通じて得た構想を発表する。

新事業創出へ意見交換 Jヴィレッジでリーダーズ・カンファレンス

毎回大いに刺激を受けるこの場で、今回は2つのことをこの先行動することを決めました。

被災地をもっとつなげる

会合には、熊本復興に関わるリーダーも多数参加しました。彼らは昨年からカンファレンスに参加していて、大いに刺激を受け、熊本でもリーダーズカンファレンスを実施しながら東北での知見を復興に役立てています。そもそも東北復興の現場では、阪神大震災や中越地震の復興に尽力した関西や新潟の方々が活躍してきました。

私自身も、中越地震で全村避難を強いられた山古志村の復興への取組を参考にしました。さらにいえば、昨年から西日本豪雨で被害をうけた愛媛県宇和島市の復興アドバイザーを引き受けていますが、東北での経験や知見が大いに役立っています。

ただし、全体的にいえば復興の取組が十分アーカイブ(蓄積)されているとは言えない現実もあります。今回の会場には、このカンファレンスの発起人でもある小泉進次郎議員が参加していましたが、議員が強く強調していたことは、各地の復興の知見をつないでいくことの重要性でした。被災地の協働がますます必要であり、そのための仕組みづくりについてコミットしたいと考えています。

企業の復興への貢献を残す

今日は宇和島支援のためにJALで松山空港に向かいましたが、JAL機内誌である「SKYWARD」4月号では釜石が特集されています。これは、昨年釜石で行われた東北リーダーズカンファレンスに参加したことがきっかけだと、JALの社会貢献担当の方が話していました。

東北の水産業・農業に多大な貢献をした「キリン絆プロジェクト」が「KIRIN KIZUNA TABLE」として引き継がれ、今後は現地のリーダー達による取組として残されていくことがカンファレンスで発表されました。熊本地震でもキリン社は産業復興に大きく貢献しました。

宇和島市の復興ではヤフー社がサポートをしてくれています。またある外資企業が明日宇和島市で新たな支援を記者会見してくれることになっていて、そのために私も宇和島に向かっているところです。

阪神大震災はボランティア元年とも呼ばれましたが、東日本大震災は企業による社会への関わりを大きく変えた事象になったと言えます。ただし、一般にはこうした企業の取組が十分認知されたとは言えません。あと2年で東日本大震災から10年となり、また復興庁もその役割をひとまず終えることになります。東北復興を後世に残すための10年誌も企画されていると聞きます。企業による貢献を、こうした機会を通じて残していただく必要がある。ひきつづき復興にコミットしてくれている企業の担当者の皆さんの顔を思い浮かべながら、そのように決意しました。

令和の時代に向けて

災害が続いて平成の時代はあと10日で終わりとなります。しかし令和の時代も、南海トラフや首都直下といった巨大地震が発生する可能性が高いと予測されています。日本社会は、大災害と向き合い続ける必要があります。被災地のつながりや、企業による貢献といった取組は、未来におきるだろう大災害からの復興においても極めて重要な取組となります。こうした取組を引き継ぎ、またバージョンアップさせていくことが必要だと考えますし、RCFとしてもその役割を果たしたいと考えています。


編集部より:この記事は、一般社団法人RCF 代表理事、藤沢烈氏の公式note 2019年4月21日の記事を転載しました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は藤沢氏のnoteをご覧ください。