山口達也さんのリハビリ姿を隠し撮りする最低なメディア

田中 紀子

おととい(5月18日)、元TOKIOの山口達也さんの懸命なリハビリ姿の隠し撮りが、女性セブンや、月刊フライデー、東スポなどに掲載されました。

※画像はイメージです(写真AC:編集部)

山口さんは現在芸能界から身をひき、治療に取り組まれています。
そういった懸命な努力をしている方に対して、何故そっとしておいてあげることができないのでしょうか?
こんなことが許されると思っているのでしょうか?

さすがに今回の報道は「ひどすぎる!」とTwitterでも炎上していますが、最近、特に女性セブンをはじめとする、女性週刊誌のえげつないやり口が目にあまりますね。

こういう報道が、読者である女性たちにうけるとでも思っているのでしょうか?
大体、女性セブンなどを買って読む世代と言えば、我々のようなおばちゃんしかいないと思いますが、我々世代というのは「人生は一筋縄ではいかない」と痛感している年代です。

まわりの友人知人をみても、子供達のなんらかの問題、嫁姑、介護、さらには自分や配偶者の病気など、様々な人生の逆境を経験しています。「何の問題もありません!」なんていう人はいないですよね。

そういった様々な人生の辛苦を経験した世代がですよ、病気療養中の人間を隠し撮りして、喜ぶとでも思っているんですかね?逆ですよ!逆!

こういうね逆境の時に、さらしものにされたら…と考えるとすごく嫌な気分になるし、ただでさえ嫌なことが沢山あるんですから、むしろほっこりするネタで癒されたい…って思っている訳ですよ。

こんな嫌なネタ誰が見たいんだ?
そう思っていたらですね、きのう母の付き添いで病院にいったところ、病院の待合室にこの手の週刊誌が置いてあるんですよね。あと時々銀行なんかにもありますよね。

もうね、「この手の週刊誌を買ってこういった待合室に置くのやめたらどうですか?」と言いたくなってしまいました。

山口さん、リハビリに入ってまだ1年ですよね。一番辛い時ですよ。
アルコール依存の他に躁鬱病もあったなんて言われていますけど、依存症だけでも1年って一番しんどい時ですよ。
私も、ものすごく苦しかったです。

なんせね、自分が依存してたものにハマる以外に、脳の快感ホルモンであるドーパミンが出ないらしいですからね。
それがどれだけイライラし不快な状態かお分かり頂けるでしょうか。

そしてその状態の時に、過度なストレスがかかるとどうなるか?
そうです再発しちゃいます。まして、治療の一環で行っていたと思われるウォーキングの様子を、これだけメディアにさらされてしまったら、もう怖くて外を歩けない…ってことになっちゃいますよね。
そうなったらリハビリも中断しちゃうわけじゃないですか。

私なんかから見ると、これらのメディアは人命を軽視しているとしか思えませんね。
依存症って、自殺率が普通の人より20~30倍もあるんですから。そういうリスクに自分たちがさらしているという自覚がないんですよ。

病気療養、リハビリの姿を隠し撮りして良いはずがありません。
そして良いことも1ミリもありません。これらメディアには、猛省をお願い致します。


田中 紀子 公益社団法人「ギャンブル依存症問題を考える会」代表
競艇・カジノにはまったギャンブル依存症当事者であり、祖父、父、夫がギャンブル依存症という三代目ギャン妻(ギャンブラーの妻)です。 著書:「三代目ギャン妻の物語」(高文研)「ギャンブル依存症」(角川新書)「ギャンブル依存症問題を考える会」公式サイト