丸山穂高議員のアルコール問題の件で、プチ炎上した宇佐美典也さんと、この問題について対談をさせて頂いたので、是非Youtubeをご覧下さい。
この動画で言いたかったことは、大きく分けて以下の3つですね。
1)診断名にこだわらず、周囲が困っていたり、経験者にアドバイスされたなら支援につながろう!
依存症は、別に診断が出ようが出るまいが、大きな問題ではないです。
何故なら、有効な薬があるわけでもないし、医者なら止めさせられるというわけでもないです。
むしろこれまで依存症界では「医者には治せない病気。だから自助グループに行きなさい。」と言われたものでした。
結局の所、アルコールや薬物、ギャンブルなどに依存し、周囲や自分を傷つけて生きているという「現実」があるのなら、それを止めるしかない訳じゃないですか。
だから止めることに成功した人のところにいって真似するのが一番早くて簡単なんですよね。
あと、なんだかしらないけど医者礼讃主義の人がいますけど、この日本で依存症について信頼できる医者なんてごくわずかです。
しかも診断後、病院の認知行動療法をやって自助グループをお勧めされる・・・
だったらそんな医者探しでロシアンルーレットみたいなことをやるより、この問題は、経験者のアドバイスのほうがよっぽど役に立ちます。
なんせ経験者たちは、きめ細かく、あらゆるパターンのデータベースを持っている訳です。
医者に「夫が児童手当までギャンブルに使っちゃうんですが何か対策ないですか?」なんて聞いたって、「児童手当は世帯年収の高い方に振り込むといういルールがあるけど、ギャンブル依存症問題がある場合は「特段の事由」として認められるから、担当者に話せば振込先を奥さんに変えてくれますよ。
万が一、理解して貰えない担当者だったら、国会でその旨答弁もされているから議事録持って行きなさい。」なんて細かいレクチャーなんかされないじゃないですか。
でも、自助グループは当事者にも家族にもとにかく沢山の経験による知恵が詰まっています。
2)依存症に対する世間の誤解とのギャップ
この度の件で、宇佐美さんが「いやぁ、依存症のこの状況大変ですね~」と、おっしゃってくれ、我々の置かれている立場をつくづく理解してくれて、本当に有難いと思いました。
なんせ「依存症かもしれないから、医者か自助グループに繋がった方が良い。」と、我々が言っただけで叩かれるという、ものすごい偏見だらけの病気ですからね。
実は、動画でも言ってるんですけど、先週私の夫が「突発性難聴」で緊急入院してたんです。
心配されるのも面倒だから、夫も私も誰にも言わなかったんですけどね。
皆さん「突発性難聴」になったらとにかく速攻で医者に行き、可能な限り入院治療でのステロイド治療に踏み切った方が良い!って知ってました?
デッドラインは2週間。できれば1週間以内に治療するんです。
とにかく早くやらないと、聴力が戻らないんです。
で、私はこのことを、突発性難聴になった知人から聞いていて知ってたんですね。
その人は1ヵ月放置しちゃって、聴力が戻らなくなっちゃったんです。
だから夫から「片耳が聞こえないんだよね~」と言われた瞬間、「即、医者行って!早く!」と叫んだんですね。そして夫も速攻入院の段取りをつけてきたんです。
で、現在は無事に殆ど元の状態まで回復したんですね。
こういう同じ病気になった経験者のアドバイスってすごく役に立つじゃないですか。
私も、情報を教えてくれた知人に大感謝です。
それに医者に行って、万が一病気じゃなかったらただのラッキーで、失うものなんかない。
しかも別にアドバイスされて怒ることもないじゃないですか。
それを「依存症かも?」と言ったら怒りだすってね、こっちに失礼千万ですよ!全く・・・
「それ依存症かもしれないよ?」「まずは家族だけでも相談に行ったほうがいいよ!」
この程度のことは、普通に素直に受け入れられる社会になって欲しいです。
そして「否認の病」である依存症に対して、周囲の人達はどうあるべきか?
また雇い主や、組織はどう対応したら良いか?介入のあり方はどうあるべきか?
そういったことを身をもって経験した、維新の先生方には、今後の依存症対策大いに期待したいところです。
3)「責任」とは何か?
動画でも言ってますがこの国には「依存症と言えば何でも許されると思うな問題」があります。
これこそ依存症問題を阻害する大きな間違いです。
例えば、丸山穂高議員の場合なら、「自分にはアルコールの問題がある。だから断酒しなくてはならない。」
これを認めることが重要な責任の取り方じゃないですか?
しかもこの点を認めたら、他の問題には目をつぶってやる!なんてバーター取引じゃないんですよ。
お酒の席でやらかしたこと、例えば今回の件なら議員辞職すべきだと思うし、女性に問題行動をとったとしたら、示談等でその償いをすべきだし、その上で、アルコールの問題を「認める」こと。
依存症者は、これが一番難しく、一番やりたくないことなんですね。
だからこそやらなくてはならないんです。
それを世間は「依存症なんて言い訳させるな!」「依存症なんて逃がすな!」みたいに言うので、依存症者はこれ幸いにと、依存症問題から逃げちゃうんですよ。
「今度こそ、しっかり働きます!」なんて最もらしい言い訳をしますからね。
しかも依存症の回復プログラムでは、このやらかしたことに対する後始末「埋め合わせ」のプログラムが、最重要課題ですからね。ここから逃げるわけにはいかないんです。
アルコール・薬物・ギャンブルなどの問題を起こした人の真の責任の取り方について、感情論や間違った情報による偏見から判断せずに、「問題を認める」ことの重要性をもっと知って欲しいと思います。
動画で依存症対策に必要な大切なことを沢山盛り込みました。
是非ご覧下さい。
田中 紀子 公益社団法人「ギャンブル依存症問題を考える会」代表
競艇・カジノにはまったギャンブル依存症当事者であり、祖父、父、夫がギャンブル依存症という三代目ギャン妻(ギャンブラーの妻)です。 著書:「三代目ギャン妻の物語」(高文研)「ギャンブル依存症」(角川新書)「ギャンブル依存症問題を考える会」公式サイト