韻を踏めば説得力アップ。救世主は偉人の言葉を引用する?

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「単純接触効果」という認知心理学における理論があります。これは、繰り返し接触することで、警戒心が薄れ、好感度が増していくというもの。

法則を導き出したザイアンス博士の名前をとって、「ザイアンスの法則」とも言われています。

今回は、14冊目となる著書『3行で人を動かす文章術』(WAVE出版)のなかから関連するエッセンスを紹介します。

この繰り返しは、CMなどでよく使われる手法です。繰り返し商品名が連呼されたり、同じフレーズが流れていたりすると、無意識に口ずさむほど印象に残りますね。また、CMによく登用されるタレントの好感度が上がるのもこの効果です。

ザイアンスは、提示回数が多いほど影響力が上がり、好感度が増すと説いています。街角でばったり会った後に、また電車で会うなどたびたび出会う人に縁を感じてしまうのもその一つかもしれません。これを文章にも応用してみましょう。

たとえば、導入・展開・結論部分など文章のポイントとなる部分で、同じフレーズを使ってみるのです。印象的な言葉や伝えたいポイントを繰り返し主張することで、読者にインパクトを残せます。私はこのような手法を「韻を踏む」と呼んでいます。

○春になったら、桜を見に行こう。
○夏になったら、海を散歩しよう。
○秋になったら、森の中を散策しよう。
○冬になったら、雪の中で温め合おう。

同じ言葉を繰り返すと、くどく感じて逆効果になることがありますが、このように表現を繰り返すことでリズムが生まれ、読者の脳裏にフレーズが残りやすくなります。

表現に困った場合、文章にエッジをつける方法はいくつかあります。その一つがことわざや偉人の言葉の引用です。的確なことわざを用いることで、多くを語らなくてもストレートに言いたいことを伝えることができ、文章に深みをつけることもできます。

また、偉人の名言は、時間を経てもなお残っているだけの知恵や教えがこめられています。例をあげておきましょう。名言といわれるものはたくさんあり、思考を深めるヒントにもなります。名言を集めておき、困ったときに活用してください。例をあげましょう。

「貴方がたの人間性を心にとどめ、そして他のことを忘れよ」(アインシュタイン)
「明日死ぬかのように生きよ。永遠に生きるかのように学べ」(ガンジー)
「人生はむつかしく解釈するからわからなくなる」(武者小路実篤)

皆さんも歴史的な人物や政治家、偉大な作家の名言を探してみてください。きっと得るものがあります。ただし、著作権に抵触しないように引用の際には注意しましょう。

<参考書籍>
3行で人を動かす文章術』(WAVE出版)

尾藤克之(コラムニスト、明治大学サービス創新研究所研究員)