横浜市内で交通インフラの事故が相次いでいます。
6月1日にはシーサイドライン、そして昨日6日には市営地下鉄ブルーラインで事故が発生しました。
私は、横浜市内の事故と聞けば当然関心持ちます。なぜならば、いずれも横浜市長のときに関わったからです。
(株)横浜シーサイドラインは横浜市や京浜急行電鉄、西武鉄道、横浜銀行などの出資による第三セクター方式で設立された会社です。そして市営地下鉄は、横浜市が運営しています。
さて、14駅(10. 6キロ)という短い路線のシーサイドラインで起こった今回の事故は、終点の金沢区新杉田駅で車両が逆走しました。原因は現在調査中ですが、直近の報道によりますと、車両の内部装置に断線が見つかり、進行方向が正確に伝わらなかった可能性が高いとのことでした。この電車は実は無人運転なんです。無人運転ということは、プログラミングされた指示が電子的に伝えられるわけです。今回はその伝達に使われる電子系統が車両内で断線していたのではないかと見られています。
一方昨日発生した横浜市泉区にある下飯田駅付近での市営地下鉄脱線事故。こちらも鉄道事故調査官が派遣されて事故原因を調べていますが、どうやら前日夜に行われた保守点検で使用した装置を線路内に置き忘れ、これに始発電車が乗り上げて脱線したとみられています。
いずれも横浜市長として関わりました。
シーサイドラインの方は技術的には問題はありませんでしたけれども、経営状況については、横浜市からの出向者が多く、また高給取りでした。こうした問題を改め、自主経営を促し、黒字化しました。それ以来、経営状況はずっと黒字です。
そして市営地下鉄の経営再建。
これはもう本当に苦労しました。
給与の見直し、働き方の見直し、広告などの営業強化などなど、あらゆることをやり、私の市長最終年度(平成21年度)に、25年ぶりの営業損益、経常損益ともに黒字化を果たしました。
私、健全な経営と安全は相反するものではなく、表裏一体だと思います。ですから民間の鉄道会社でもそうですが、儲けを多くするために安全から手を抜いてはならない。まさにそこが経営者のバランス感覚が問われるところだと思います。
安全でなければ当然お客様は利用しません。ひと度事故が発生すれば大損失が発生し、長きにわたって信用は失墜することになります。全てがそうだとは言いませんが、民間の鉄道会社の事故は、合理化のやりすぎというケースが目につきます。
例えば平成17時年4月に、所要時間短縮や運転本数増加などの利益追及と、乗務員に対する日勤教育、秒単位での定時運行など様々な要因と、運転士のブレーキ操作の遅れにより脱線事故が起こり、106名の乗客と運転士1名が死亡し、562名の乗客と1名の通行人が負傷した福知山線脱線事故です。
一方、行政が展開する交通機関は、緊張感のなさや、ぬるま湯体質があるように思います。
今回の事故原因はまだはっきりしていません。
市営地下鉄はまた、緊張感のない経営に戻ってしまってはいないか気になります。
編集部より:この記事は、前横浜市長、元衆議院議員の中田宏氏の公式ブログ 2019年6月7日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方はこちらをご覧ください。