“カスハラ”思考:なぜ年代ごとにクレームの種類は大きく異なるのか?

黒坂 岳央

こんにちは!黒坂岳央(くろさかたけを)です。
■Twitterアカウントはこちら→@takeokurosaka

キャリコネニュースに大変興味深い記事がありました。それは、クレームの種類は年代ごとに異なる特徴があり、若い人は「問題発生の経緯や説明」を求め、中高年は「自分への特別待遇を求める」というものです。

はむぱん/写真AC(編集部)

私も過去の接客アルバイト経験や、コールセンター派遣スタッフをやっていましたので、この話には大いに頷けるものがあります。強く共感してしまったことで、次のようなツイートをしてしまいました。

クレームを受けた経験者たちの声

まずは実際にクレームを受けてきた経験者たちの声を見てみましょう。

「これ、コールセンターにいると実感する。電話に出た瞬間にバカヤローとか言ってくるのは大抵高齢者」

「理由を説明したくても聞いてくれない。で、キャンセルだの弁償だの特典を追加しろだの言ってくる。断ると上司を出せ攻撃が始まる」

「若い人は改善策を提示すれば納得してくれるけど、老害は気分を害したから責任を取れって言うのよね」

引用元:キャリコネニュース「世代ごとのクレームの違いに納得の声! 若者は「説明」を求めるが中高年は「特別扱い」を求める」

※大本はTwitterのようですが、ツイートが見当たらずキャリコネニュースさまを引用元としています。

また、キャリコネニュースのライターさん本人も過去にパチンコ店で受けたクレームで、年代ごとの質の違いを感じているようです。

僕が高卒で入社した某パチンコホールでも、大なり小なりのクレームは絶えなかったが、年代によってクレームの質というものは確かに異なっていることが多かった。

たとえば遊技中に不具合があったという時、対処はマニュアルに則って行うんだけど、若いお客の場合はこのマニュアル通りの対処と真摯な謝罪対応で、割とすぐに納得してくれたものだ。

ところが中年以降のお客になると、この対応だけではなかなか納得しないことも珍しくなかった。やたら店長を呼ぼうとしたり、土下座を強要したり、謝罪文を書かせようとしてくる。

過去の接客経験からも非常に共感

私は過去の接客バイト、コールセンター派遣でまったく共感する経験をしてきました。

コールセンターでは携帯電話を購入いただいたお客様から操作方法の不明点や、入金の督促などを担当していました。若い人は「うまくできない!なんで!?」と怒りながら電話をかけてきても、操作方法をお伝えしてうまくいくと、「あ!できた。お手数かけてすいません。ありがとう!」とスッキリ終わることが多かったです。

しかし、年配のお客様は電話に出るやいなや「不良品!金返せ!!」という怒声から始まり、電話番号と名前を聞いてお客様情報を確認しようとしても、「返金しろ。そうしないと教えてやらん!」と無理難題を言われる方が何人かいたものです。こちらは、顧客特定をしないと、使っている機種の不具合なのかも分かりません。なんとか情報を聞き出しても、「もういい!教えてやったんだからお金返せ!家まで土下座しにこい!」という有様でした。

また、過去にお店で働いていた時のクレームはお客様の完全なる勘違いで、受け取られた商品に誤りがあり、こちらの対応が不備だと信じて疑わなかった年配女性がいました。商品に問題がないことが分かると、「あなたの伝え方が悪い!」と謝るどころか責任転嫁。理不尽ながらもこちらは30分間誤り続けましたが、「誠意を見せるにはもので示すしかないでしょ?」と想像通り金品の要求に入りました。

もちろん、中高年のすべての方がそのようなクレーマーではありません。多くの方が冷静で地理的、落ち着いた態度で紳士に不満を伝えるパターンだと思いますが、いわゆるカスハラ(カスタマーハラスメント)に該当するのは、若者ではなく中高年に多いと経験値からもそう思えます。そしてクレームの割合はあまり男女比に違いがないとも感じられます。

カスハラは思考の幼児性から来るもの

カスハラ思考は彼らの幼児性から来るものと考えます。

自分はお金を払ったのだから、お店側はいかなる状況下でも最高のパフォーマンスで最高のものを提供する義務があると考えます(努力義務ではなく、提供義務と考えますね)。たとえば大混雑するような年末年始の外食の人気チェーンにいけば、当然の如くかなりの待ち時間が発生します。

冷静に考えば待ち時間が発生する時間帯とタイミングに来店したのは自分自身の判断ですから、待ちたくなければランチは1,000円の店ではなく、極端なことを言えば10,000円の店へ行けば良い、もしくは閑散期に出直すという選択肢があります。

繁忙期の混雑に対して、お店側は増員で対応するわけです。しかし、それでも突発的な混雑への対応は限界があります。お店側は手の打ちようがないのですから、お店に文句をいうのは筋違いなのです。

カスハラは自分の行動を変えず、常に周囲の方を変えようとするのは、子供がだだをこねるのと寸分違わない行為です。そしてお店側が反論できない立場というのを分かりながら、法大な要求をするのですから、弱い相手に強く出る、「思考の幼児性」を指摘されても仕方がないと考えます。普段はいい人そうな顔をしていても、人は鉄火場でその人の本性が現れるので、クレームをいう姿で恥を晒すことのないようにしたいものです。

最後に、年代ごとに育った環境も違いますし、加齢からくる感情の制御力も異なります。さらに個々人の性格などの差異もかなり大きいので、「中高年は総じて、攻撃的でカスハラである」と言うつもりはまったくないことを付け加えて末筆といたします。

黒坂 岳央
フルーツギフトショップ「水菓子 肥後庵」 代表

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ビジネスジャーナリスト
シカゴの大学へ留学し会計学を学ぶ。大学卒業後、ブルームバーグLP、セブン&アイ、コカ・コーラボトラーズジャパン勤務を経て独立。フルーツギフトのビジネスに乗り出し、「高級フルーツギフト水菓子 肥後庵」を運営。経営者や医師などエグゼクティブの顧客にも利用されている。本業の傍ら、ビジネスジャーナリストとしても情報発信中。