RCFでは、災害政策における提言活動を続けています。近年の災害多発を背景に、各党が災害対応を検討する機会が増え、呼んでいただける機会も増えました。
たとえば自民党の災害対策特別委員会は、この4-5月に集中してソフト防災分野を中心に様々な課題を議論しています。こちらでは、ボランティア関連施策、情報関連施策の情報提供をしました。
また立憲民主党の災害対策部会も精力的に検討を続けています。今後は民間有識者も呼んでいくようで、田嶋要議員の縁から、その一回目の会合に呼んで頂けました。
『災害対応研究会で取りまとめた内容を立憲民主党災害対策部会へ提言しました』
こちらでは、グーグル社と進めていた「災害対応研究会」の提言資料をベースに、下記の2つについて提言を行いました。
1. 避難所以外の被災者の支援
避難所には、被災者向けの情報や物資、サービスが集まっています。しかし、避難所には来ていない被災者は少なくありません。発達障害のお子様がいる家庭は、被災しても避難所に入ることを控えています。熊本地震では余震をおそれ、車中泊をおこなって避難所にこない被災者が多数現れました。
地震と異なり豪雨災害では、自宅避難をつづけて避難所に出向かない方が多数となります。また首都直下地震が想定される東京では避難所は在住者のものとされ、通勤者や観光客への対応は十分ではありません。そもそも、自治体は避難所以外にいる被災者を把握する術を持ち合わせていません。
こうした「避難所以外の被災者」を把握し、いかに物資や情報を届けていくかが、大きな課題であるとお伝えしました。
2. 災害関連死の防止にむけた取り組み
倒壊、火災、津波などによる災害直後に亡くなられる方以外に、避難生活を送る中で死亡されるかたを「災害関連死」と呼ばれ、災害弔慰金の対象となります。
災害関連死は、阪神大震災以降、5千人弱にものぼります。しかし、その対策は十分とは言えません。首都直下にせよ南海トラフにせよ、災害直接死の推計は出されており、抑制させるための政策が検討されています。しかし、災害直接死の予測はなされておらず、対策も十分ではありません。
原因と対策は検討されています。たとえば避難所での二大死亡要因は「誤嚥性肺炎」と「心筋梗塞」。これは衛生環境の劣悪さが招いており、トイレや睡眠、食事の環境を変えることで抑えることが可能です。
与野党を越えて防災政策のアップデートを
令和の時代も、大災害に見舞われる可能性が高いとの予測があります。防災政策の必要性に、与野党の違いはないはずです。党派をこえて、引き続き防災政策のアップデートの必要性を訴え続けていきます。
編集部より:この記事は、一般社団法人RCF 代表理事、藤沢烈氏の公式note 2019年6月10日の記事を転載しました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は藤沢氏のnoteをご覧ください。