オリパラ及びラグビー特別委員会にて③ ラグビーの奥深さを知るワールドカップへ~

こんにちは、東京都議会議員(町田市選出)のおくざわ高広です

オリパラ&ラグビー特別委員会の質疑報告第3弾です。
第1弾 持続可能な社会を目指して
第2弾 安全で円滑な交通計画について

また、森沢きょうこ都議斉藤れいな都議もブログで書いてくれているので併せてお読みください。

さて、今日のテーマはラグビーワールドカップ2019大会の成功に向けて。観客動線ルートを歩きまわり、大会時の情景を思い浮かべながらの質疑となりました。また、森沢都議の友人で元ラグビー日本代表の野澤武史さんのご協力も得て、本物のレガシーとはなんなのかという視点で質疑できました。この場を借りて感謝申し上げます。

どんな質疑でもそうですが、私はなるべく職員の方々の心に問いかけるようにしています。執行機関といわれる行政の職員さんが自らやりたいと思わなければ、どんなに良い指摘も政策提案も、形だけのものになってしまいます。そのような意味で、今回の質疑後に、とある職員の方から「現場を歩いていただき、ありがとうございます。同じ問題意識をもつことができて有意義な委員会となりました。」と言っていただけて、ほんとに良かったなと思います。ラグビーワールドカップ2019大会の開幕(9/20)まで、あと82日。微力ながら、大会の成功へ尽力してまいります。

以下、質疑骨子

試合会場周辺の観客動線とそれに伴う警備計画を策定する旨の資料が配布されました。残り90日を切る中で、会場周辺や駅の様子はどうだろうかということで、改めて観客動線を歩いてまわりました。その中で見えてきた取り組むべき課題について、確認していきたいと思います。今回の観客動線では、飛田給駅ルート、西調布駅ルート、多摩駅ルートの3つのルートが示されており、飛田給ルート利用者は往路39000名復路31400名、西調布ルートは往路700名復路3800名、多摩駅ルートは往路1000名復路2600名を想定しているとのことです。

まずは飛田給駅について伺います。以前の当委員会における他会派からの質疑において、ホームが決して広くはないことから、改札を通る前段階から整列乗車を始めるべきではないかとの指摘がありました。また、エレベーターが11人乗りであり車椅子ユーザーは1台ずつしか利用できないであろうということも懸念されるところです。通常のスポーツや音楽のイベントにおいても同様の人数が利用するとは聞いていますが、それは東京スタジアムへの来場に慣れている方々が多く、自然発生的に譲り合いや時間差乗車が行われているからこそ可能な、安全で円滑な移動なのだと思います。

Q15.一生に一度!のラグビーワールドカップということで、海外や国内でも地方から来られる方も多く、適切なお声がけや誘導を行う必要があると考えるところであり、京王電鉄との役割分担や連携が非常に重要であると考えますが、現在の協議状況とあわせて見解を伺います。

A15.
・大会時に京王線飛田給駅においては、コンサートやJリーグなどの対応の経験を踏まえ、駅員の体制を拡充して利用者が安全かつ円滑な乗車を行えるよう対応すると聞いている。また、混雑により危険が生じるおそれがある場合には、京王電鉄が駅改札入場規制等の臨時的な運用を実施
・都においても、飛田給駅に外国人や障害者を補助するスタッフや警備員を配置し、駅員と連携して駅利用者への安全確保に努めていく。
・京王電鉄との詳細な役割分担については現在協議中であるが、大会時には都、組織委員会、警察、交通事業者等、関係機関との連携体制を構築し、観客の安全確保に努めていく。

様々な関係機関による役割分担と連携強化は非常に重要であると思いますが、関連して西調布駅について伺います。帰りのことを考えますと、新宿方面に向かう場合に、飛田給で満員乗車となれば西調布駅では乗り込むことが出来ず、西調布駅で待たなければならないという状況もあり得ると考えます。その際、ホームドアのない西調布駅では、後方から押されてホームから落下する可能性も十分にあり得ると考える次第です。

考え過ぎと思われるかもしれませんが、あらゆる状況を想像し、備えることは重要です。もちろん、飛田給駅と西調布駅それぞれの駅構内で乗車を誘導するのは京王電鉄であるかもしれませんが、駅の内外で正確な情報を共有し、駅に入る前の時点でアナウンスすることも重要であると思います。また、西調布駅で乗車する方のために飛田給駅で乗車する方を多少制限するような必要も出てくるかもしれません。

Q16.先ほどの質問で京王電鉄との連携を深めているとのことでしたが、飛田給駅と西調布駅間での連携についての考え方について、お伺いします。

A16.
・ラグビーワールドカップ2019においては、上り下りともに、試合や開会式の開始前は4時間前頃から、終了後は1時間半後まで、飛田給駅では特急・準特急が臨時停車を行う予定
・これまでも東京スタジアムにおいてコンサートやJリーグの試合などの大規模イベントが行われる際は、飛田給駅で特急・準特急の臨時停車を実施しており、各駅停車乗降客を分散
・大会時には、京王電鉄が蓄積してきた経験・ノウハウを生かし、関係機関との連携の下、観客の円滑な輸送に努めていく。

京王電鉄が蓄積してきた経験やノウハウを活かすとのこと、心強い限りです。セクターを越えた連携体制の構築というのも一つのレガシーとして残ることを期待するばかりです。

次に、多摩駅については、トイレが大変気になりました。男性トイレに入ってみましたが、洋式が一つに和式が一つ、駅の周りに公衆トイレのような施設も見当たりませんでした。

Q17.復路では2600名が利用する、加えて外国から来られる方も多い中で、多摩駅でのトイレ利用について、どのような対応を考えているのか、伺います。

A17.
・多磨駅については、ラグビーワールドカップ開催時には通常より多くの方が利用する見込み
・このため、都は多磨駅までのラストマイル上の仮設トイレの設置に向けて、府中市と調整

仮設トイレ、必要だと感じています。また、改札を通ったあとに踏切があるという特殊性も鑑み、なるべく駅構内での滞留を起こさないような取組とホーム内での適切な声掛け、誘導についても要望しておきます。

ここで、飛田給駅から東京スタジアムへ向かうと必ず通るデッキ上での安全確認についてです。私は以前明石に住んでいて、花火大会の事故の現場で当時の運営に当たっていた方から直接お話を聞いたことがあるのですが、その中で、先を急ぐ人や足を止めてしまう人、忘れ物をして逆に進む人など、通常とは異なる人の流れが生まれる中で、小さな滞留の繰り返しから大きな事故へと繋がってしまったとのお話を思い出しました。

どれだけ入念に準備をして、警備員が声をかけても、一生に一度のワールドカップだからこそ、デッキ上で記念写真をとったり、友人と落ち合うために逆に進んだりと通常とは異なる行動が出てくることは避けられないものであり、その前提でシミュレーションを行う必要があると考えます。特に、日本語の通じない外国籍の方々や初めて東京スタジアムを訪れる方々も多い中で、意志疎通をすることは並大抵ではありません。

Q18.そのような点からも警備員の方々をはじめとする現場での対応、つまり実践経験が重要であると考えますが、どのような準備を積まれていくのか、伺います。

A18.
・警備員等については、大規模国際イベントでの警備や東京スタジアムでの警備経験がある者を含め、実践経験が豊富な者を各所に配置
・さらに、講義や図上・現地でのシミュレーションを行い、実践力を向上
・今後とも、都、組織委員会、警察、消防、交通事業者等と連携し、現地での検証も重ねながら、安全で円滑な観客誘導を確保

現地での検証というお話がありました。実践経験が豊富であるからこそ気付かずにいるような部分を埋めていくような、シミュレーションを繰り返していただきますようお願いします。

最後に、シティドレッシングの状況について伺います。多摩駅から味の素スタジアム、飛田給駅。飛田給駅から電車で西調布駅に移動し、西調布駅から味の素スタジアムを通過し、白糸台駅へと足を運ました。

その間で見つけたラグビーワールドカップ2019の広報物は、多摩駅周辺でポスター1枚、スタジアム通りで実行委員会のフラッグ1枚、スポーツ施設駐車場近辺にのぼりと横断幕(ただし外からはあまり見えない位置)、飛田給周辺には見つけることができず、西調布駅から味の素スタジアムへ向かう途中にマンホール装飾を発見。白糸台駅に向かう途中でドレッシングしたコミュバスが通りかかった、とこれくらいのものでした。残り100日を切って、会場周辺が全く彩られていないのはいかがなものかと、率直な感想です。

Q19.残り90日を切り、特に会場周辺における都市装飾を活用した機運醸成について、どのように取り組んでいくのか、伺います。

A19.
・試合会場周辺やラストマイルにおける都市装飾については、ラグビーワールドカップ2019組織委員会が定めるルールに従い、全開催都市で一斉に実施
・具体的には、京王線飛田給駅、西調布駅、西武線多磨駅の各駅からのラストマイルと東京スタジアム周辺において、開催都市共通の街灯フラッグや横断幕(フェンスバナー)を活用し、開幕1か月前8月から、装飾を実施することで、大会を盛り上げ

ちょうど八月と言うと、代表メンバーが発表される時期であり、盛り上がりも加速していく時期と思われますので、効果的な装飾をお願いしたいと思います。

最後に、そもそもラグビーワールドカップ2019を通じて、どのようなレガシーを残していくのか、東京都にとっての成功とは何なのか、という視点から意見を申し述べます。まずは今日お話も出ました輸送や警備も含めて、無事に大会が開催され、その中で見えてきた課題に対してPDCAをまわした上で2020東京大会を迎えるということも一つの目的であると思います。しかし、より重要なのはラグビーというスポーツの奥深さを一人でも多くの方に知っていただくことであると思います。

先日、元日本代表の方からお話を伺い、チームが勝つための利他の精神と仲間への信頼、恐怖と対峙する精神力、体力で勝る相手も打ち負かす知力、まさに心技体、人間の全てをかけてぶつかり合うスポーツであると教えて頂きました。加えて、ノーサイドの精神に代表される紳士的な精神性も含めて、より豊かな人生を送るうえでのヒントが数多く散りばめられていると感じた次第です。また、激しい戦いの後、両チームの選手が相手を称える姿は、スタジアムでしか味わえない感動であるとのことです。

今お話したような、ラグビーのもつ魅力を、大会運営全体を通じて東京都に浸透させていくことこそが、レガシーになると考えます。ラグビーというスポーツの本質を体現する大会となるよう、オール東京で力を合わせて取り組んでまいりましょうと呼びかけさせていただき、質問を終わります。


編集部より:この記事は、東京都議会議員、奥澤高広氏(町田市選出、無所属・東京みらい)のブログ2019年6月29日の記事より転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はおくざわ高広 公式ブログ『「聴く」から始まる「東京大改革」』をご覧ください。