月500円で産経を守ろう‼︎

筆者は四半世紀前の単身赴任を機に新聞は産経だけ購読して来た。ここ7~8年は、一時期外国暮らしをしたこともあってネット専門になり、タダで産経デジタルを読んで来た。ところが少し前からその産経も無料の会員制になり、その後すぐに一部の記事が有料になった。

産経ニュース公式ツイッターより:編集部

しばらく読まずに我慢していたが、徐々に金色の鍵付の有料記事が増え、仕方なく月500円の有料会員になった。他紙は余り読まないがネットでは朝日、毎日、日経に有料記事がある。が、無料会員の登録で月に何本か全文を読めるので不自由はない。YahooニュースやMSNやGoogleニュースで見出しを見るだけでも凡そのことは判る。

外国メディアももちろん無料ネットで読む。韓国各紙を始め、台湾中央社、AFP、BBC、Bloomberg、CNN、Fox News、Interfax、Reuter、中国日報、環球時報などどれもタダだ。知る限りで有料なのはWSJとNY Timesぐらいではないか。

ところが少し前に産経の希望退職が報じられた。朝日の年収165万円ダウンや毎日の希望退職は祝着だが、お世話になった産経に潰れられては困る。石井英夫氏の産経抄や鬼籍に入られた方々の正論などを一時は切り抜いていた。お陰ですっかり右に寄ってしまい、ゴルフもスライスばかりだ。

メディア不況は米国も同様の様子で、6日のAFPは「米メディアの人員削減、今年は過去10年で最悪の恐れ」 との見出しで次のように報じていた。

報道機関の人員削減や廃業が相次いでいることで、不振に陥っている米メディア産業の今年の解雇者数は過去10年間で最悪となる恐れがある。・・映画、テレビ、出版、音楽、放送、紙媒体の報道などのメディア企業は、今年これまでに7775人の人員削減を発表。うち3600人以上を報道機関が占めた。前年は、6月末までのメディア企業の人員削減数は6435人、通年では1万5474人で、うち報道機関は1万1878人だった。

(調査会社社長は)「広告収入によって無料で公開されているニュースへの消費者の需要に応えようとするビジネスモデルで、多くの職が既に危険にさらされている」と述べ、多くの報道機関が有料化を試みる一方で、読者は無料のニュースに流れていると指摘した。・・購読料収入に基づくビジネスモデルは、消費者が重要で価値があると認めるニュースを報道機関が提供する場合にのみ成立すると指摘。…「ついには、ユーザーがお金を払わないことで、国内の報道の質は低落の道をたどり始めるだろう」と述べた。

筆者と同じことを考える読者が多いということか。だが軒並み潰れられては、ニュース取材は共同と時事だけになって、ますます偏ってしまう。テレビの偏向報道も困ったものだが、これは電波オークションが導入されれば淘汰されてゆくだろう。その日が待たれる。

その前に産経新聞社を守ろう。月500円の有料会員が1万人増えれば4~5人の雇用は確保できよう。5万人なら20人は雇える。本欄の読者だけでも月500円を産経に投じようではないか。

高橋 克己 在野の近現代史研究家
メーカー在職中は海外展開やM&Aなどを担当。台湾勤務中に日本統治時代の遺骨を納めた慰霊塔や日本人学校の移転問題に関わったのを機にライフワークとして東アジア近現代史を研究している。