中ちゃん参議院議員選挙スペシャル6日目は健康保険です。
我が国の健康保険は、すべての国民をなんらかの医療保険に加入させる国民皆保険制度であり、最も国民が価値のあると思えるセーフティーネットだと思います。
国民医療費の総額は平成25年度に40兆610億円となり始めて40兆円を超えました。
直近の平成29年度は42.2兆円となり、これまで常に右肩上がりで膨らんで来ました。
6年後の令和7年(2025年度)には健康保険組合連合会が57.8兆円と予測。政府の経済財政諮問会議も2040年度の医療費が66.7兆円になると推計しています。このままでは健康保険組合や国民健康保険が果たして成り立つのか。これは重大な課題です。
ちなみに現状の保険制度は、国民健康保険特別会計だけで成り立っておらず、税金で赤字を補填し、その税金も赤字国債、すなわち借金によって医療制度を維持しています。この医療費高騰の背景にはやはり高齢化があります。先ほどの国民医療費42.2兆円うち36%が75歳以上の高齢者によるものです。
健康寿命が長いことはとても良いことですが、高齢者の医療費は課題だと認識しています。そこで重要なのは、健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる健康寿命と平均寿命の差を縮めていくことだと考えます。
最新の調査で、日本人の男性女性の平均寿命、そして健康寿命はこうなっています。
平均寿命 健康寿命
男性 80.21歳 男性 71.19歳
女性 86.61歳 女性 74.21歳
※平成28年で比較
天寿を迎えるまで、男性は9年、女性は12年、医療機関にかかっていることになります。
この差をいかに縮めていくのか、その為には、高齢者の体力作りなども必要です。「いかに病気にかからないようにするのか」「病気が重篤化しないようにするのか」これらがポイントになります。このポイントは高齢者だけの課題ではありません。健康を維持するための保険制度に改め、その仕組みに伴った意識改革が必要だと私は考えます。
例えば予防医療と検診にもっと健康保険を使えるようにした上で、検診を受けている人と、受けていない人とで治療費に差が出るようにすることなどが考えられます。
例えば、歯周病と糖尿病の相互関係などが分かっています。
40年前は日本人より虫歯が多かったフィンランドは、検診と予防医療を徹底した結果、フィンランドでは虫歯の数が激減しました。
また、高額な医療費については慎重な議論が必要です。
例えば、肺癌患者(体重60キロ)の治療にオプジーボ(がん治療薬)を年26回投与すると3500万円(2017年)かかります。現在は、薬価が下がり当初の4分の1程度の年間約1,090万円になっていますが、それでも高額です。ほかにもキムリア(白血病などの治療薬)は1回で済むとはいうものの、3349万円かかります。
こうした高額な薬を健康保険適用にすると、保険財政どころか、国家財政にまで影響します。
だからこそ、私は健康保険を自動車保険のような2階建てにするという議論が必要ではないかと考えています。要するに自動車保険の自賠責に当たる強制保険、こちらは基本的な医療は全員が等しく受けられるようにし、一方で最先端の高額医療や高額な薬は、任意保険に加入して賄っていくという考えです。病気になってから使い放題の保険制度ではなく、病気にならないように使っていく保険制度にシフトさせていく必要があるのではないでしょうか。
言ってみれば、健康を維持するための“真”の健康保険制度が必要です。
編集部より:この記事は、前横浜市長、元衆議院議員の中田宏氏の公式ブログ 2019年7月9日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方はこちらをご覧ください。