私の参院選争点:自衛隊が違憲って言うなら、9条改憲も考えなくはない(笑) --- 榎本 洋

やはり総理の言う「自衛隊は合憲だけど、9条改憲」って言うのはよく分かりません。そもそも合憲なら、改憲する必要があるんでしょうかね。倒錯しているというか。「一部の憲法学者に違憲と言われないためだ」となると、もうなんだかなぁ…というレベルです。

陸上自衛隊射撃訓練(陸自公式Facebookより:編集部)

個人的には、自分も「9条改憲は考えるべき派」です。個別的自衛権と集団的自衛権の境界論争も聞いている分にはオモシロイですが、国際標準から言えば不毛なんだろうなぁ、と思いますし。あと最大の理由は、ひとりの日本語ネイティブスピーカーとして、九条を素で読めば自衛隊は違憲だろ、という気がするからです。

政府が「自衛隊は違憲」と言えれば、話は早いのかもですけどね。そうしたら選択肢は三つ。改憲か自衛隊廃止。あるいは違憲状態の継続。今は1970代じゃないし、改憲が自ずと選択されるはずかと。たしかに、これまで長年、合憲でやって来ていて「いまさら違憲と言える訳ないだろ」も分かります。ただ、ここまでもアクロバットの連続でしたし、たとえば仲の良い米大統領に「今後は自衛隊の戦力に期待する」と言ってもらうとか。要は今まで合憲だったけど、今後、違憲になるというアクロバットを決めればいい訳でして。頭のよい人たちが考えれば何らかの方法はあるような気もするのです。

ともかく自民党が自衛隊違憲を主張して、共産党他野党が自衛隊合憲を主張すれば、かなりワクワクする選挙になると思うのですが。もう、今のなんと言いますか、モヤモヤ感ってスゴイものがありますよね。

たとえば「年金返せ」で盛り上がる年金問題もそうです。マクロ経済スライドは年金を減らすシステムですよね。そうハッキリ明言すれば良いと思うのですが、ウヤムヤにするから、もう何を議論しているかさえ、よく分からない。基礎年金の国庫負担1/2だって、極論すれば半分は税式方式と言えるかもしれない。そうならば税式方式らしい使い方もあるのでは…。なんというか、頭のよい人たちが精緻な建付けを構築してしまうので、ややこしくなっている気もします。

企業戦略とかで「課題の<見える化>が大切」と言われはじめたのは、もう十年以上前だと思いますが、日本国という組織は完全に逆行している気がします。むしろ、課題の<見えない化>を総力を挙げて推進しているというか。そういうなかで、選挙の争点なんて、○○劇場とかムリヤリつくらなければ鮮明化する訳もナシ、なんじゃないでしょうか。

総理の言う「安定」というのは、課題を<見えない化>した果てのユートピアという気も、ちょっとします。本来、課題や問題点を顕在化させ、むしろ混迷している方が健全かもとも思うのですが、そういう体力が、もうこの国には残っていないのかもしれませんね。

歳入庁の実現位やってみろよ、とも思うのですが…絶対ムリの方に賭けてもいいです(笑)。

榎本 洋(えのもと ひろし)
フリーター。書籍編集や広告制作等。