政権与党の自公が安定的な過半数で勝利した今月21日の参議院選挙ですが、一方の野党は明暗を分けました。
今回の選挙、既成野党の獲得議席はこうなりました。
このうち明暗を分けたのは、旧民主党系の立憲民主党と国民民主党です。
立憲民主党は改選前9議席から17議席にほぼ倍増、一方で国民民主党は改選前8議席から6議席に2議席を減らしました。
非改選議席を含めたこれまでの議席数は、立憲民主党が24議席、国民民主党が23議席で1議席差でした。今回の改選後は立憲民主党が32議席、国民民主党が21議席でその差11議席と大きく差が開きました。
これだけ差がつくと、野党第1党は立憲民主党だということがはっきりしました。
実は野党第1党と第2党の「差」は大きいんです。
野党第1党になると、与党との交渉相手になります。
ということで、野党の束ね役とにもなります。
より簡単に言うと、野党第1党は目立ちます。しかし第二党は、それ以外の政党と同じ「その他の政党」扱いです。
そうなると、野党第1党は次の選挙でさらに党勢を拡大する可能性を提示することになります。
さて参議院選挙で注目されたのは「1人区」です。
定数1、すなわち「選挙区でたった1人が選ばれる」のが1人区で、今回32選挙区ありました。
結果は自民党が22勝、野党が10勝となりました。
「1人」しか当選しませんから、野党がバラバラに候補者を立てていたのでは自民党に勝てない。
よって、野党が共闘して、立憲民主党、国民民主党あるいは共産党から1人の候補者を絞り、他の党は候補者を出さないということです。3年前の参議院議員選挙では、自民党が21勝、野党が11勝と今回とほぼ同じ成果でしたので、ある意味成功したと言えます。
さて次の選挙は間違いなく衆議院総選挙です。衆議院の小選挙区は定数が1になります。ですから、野党は共闘をより進めるでしょう。
これに対して国民民主党の玉木雄一郎代表はこう言っています。
「バラバラな野党では受け皿になれない。政権交代を目指すなら野党が大きな固まりにならないといけない」
ここで言う「受け皿」というのは、票の受け皿には確かになりますが、政権の受け皿にはなり得ません。政権を選択する総選挙で、憲法については改憲派と護憲派、自衛隊については合憲派と違憲派が混在する野党共闘では政権は担えません。
玉木代表については昨日も触れましたが、憲法改正議論について国民民主党はぜひ自民党と建設的にやってほしいと思います。その代わり、予算案や法案で国民民主党の修正案を自民党に飲ませる。そうやって野党第2党でも、数では目立たなくても、中身で目立つという勝負の仕方をしてみたらどうでしょうか。
そうすれば有権者も現実的な政党として政権選択の選択肢に入ると思います。
編集部より:この記事は、前横浜市長、元衆議院議員の中田宏氏の公式ブログ 2019年7月25日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方はこちらをご覧ください。