国民民主党の玉木雄一郎代表が7月25日のインターネット放送「文化人放送局」の番組で「憲法改正議論を進める」「私ね、生まれ変わりました」と発言したそうである。
これまでの国民民主党は「オーソドックスに改革中道路線できた」が、「どっか尖らないといけません」と考えているとのこと。
玉木さんの発言には従来の支持者からいろいろな意見が出ているようだ。
筆者は7月9日の投稿で「野党がいつか、いい意味で変節してくれることを願う」と書いた。
この発言を歓迎し、期待したい。国民民主党は党内の議論を急ぎ、生まれ変わってほしい。
国民民主党は野党結集の架け橋となるという方針をかなぐり捨てていいと思う。野党結集が国民民主党のためにならないことは、今回の参院選で明らかになった。比例区で日本維新の会(5議席)、日本共産党(4議席)よりも少ない3議席しか当選できなかった。1人区の選挙区でも岩手を除き、軒並み落選。滋賀の嘉田由紀子さんにも入党を断られた。こんな弱い政党が野党結集を主導できるはずはない。このままでは埋没、消滅してしまう。
国民民主党は今こそ独自性を発揮すべき時だ。1つは玉木代表が以前から言っているように憲法改正の議論に参加することである。
それは自由民主党の秋波に応じることではない。憲法9条に自衛隊とともに個別的自衛権を明文化することを提案し、あわせて集団的自衛権に踏み込んだ安保法制の廃止を改めて主張すべきである。自民党との改憲議論の立ち位置の違いを明確にして、徹底的に戦ってほしい。
個別的自衛権の範囲について、敵基地攻撃能力を持つべきかどうかの議論も重要である。筆者は自国の防衛を米国に依存しないためにも、敵基地攻撃能力を持つことは必要だと思う。
もう1つは消費増税に賛成することである。
今回の参院選で国民民主党をはじめ野党はすべて消費増税に反対した。しかし、増税なくして、将来ますます増大する社会保障費をまかなうことはできない。行政の無駄をなくすことは当然必要だが、社会保障費の増大の前には焼け石に水だ。議員定数の削減、議員歳費の削減などというのはパフォーマンスでしかない。れいわ新選組が主張するようなMMT政策は悪質な金融商品と同じであり、論外である。
消費増税を納得してもらうには、消費税の使い道を明確にすることだ。
年金を税方式に移行し、消費税をその財源にあてることである。財務省出身の玉木さんだからこそ、年金制度の抜本改革でイニシアティブを発揮できるはずだ。
参院選を前に、老後に必要な資金を現在の年金制度ではまかなえないことが明らかになった。自民党を攻撃する絶好のチャンスだったにもかかわらず、年金制度の抜本的改革を提案する野党が1つもなかった。
国民民主党は思い切って「大きな政府」「高福祉高負担」「年金倍増計画」を掲げてはどうか。
さらなる消費増税が必要だが、何年までに何%まで上げるが、それ以上は上げないといった見通しを示すことも政治の責任である。それによって消費増税に対する国民の納得も安心も得られると思う。
・年金を減らす自民党か
・消費税を財源にして年金を減らさない(むしろ増やす)国民民主党か
・年金を減らさないと言いながら現実的な財源を提示できない立憲民主党か
年内とも言われる衆院選で、有権者の選択に委ねるべきである。
安倍首相のように9条に3項を設けて自衛隊を明記するとか、今後10年は消費増税しないとか、その場しのぎの提案は国家百年の計を誤る。国民の信頼は得られない。
姑息な自民党政権を打ち破るのは国民民主党しかない。どんどん尖ってほしい。
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浦野 文孝
千葉市在住。歴史や政治に関心のある一般市民。