街頭演説に字幕(情報保障)をつけられない、公選法は改正を!

こんにちは、音喜多駿@参議院議員東京選挙区です。

昨日午前はお誘いをいただき、「北区コミュニケーション・モア(中途失聴・難聴者の会)」の勉強会に参加をしてきました。

講師の二神さんは、私が都議会で「手話質問」をした際に指導をいただいた先生でもあります。

参考過去記事:
都議会史上初!手話で質問を敢行。まずは都庁から、動画発信における情報保障の徹底へ

そして北区コミュニケーション・モア主催の所さんは、参院選の街頭演説で自主的に手話通訳をつけてくれたりしていたのですが、

「すべての街頭演説会に、手話通訳を完備してくれればなお良かった

というリクエストをいただきました。

そうなんですよねー…。

一部の政党の大型街頭演説会では、手話通訳をつけていた場合もあったようですが、やはりなかなか政党・候補者の街頭演説会に「手話通訳が付く」というのは一般的ではないのが実情です。

私の場合は日に10回以上、広域に渡って街頭演説会を開催しており、そのスケジュールが決まるのはほぼ直前(前日夜)。

そこから手話通訳士を各地で手配するとなると、なかなか現実的には実現できなかったというのが率直なところです。

【追記】

ただ、できる限り演説内容をすべての方が後追いできるよう、字幕付きの動画はできるだけ沢山アップするようにしておりました。

参院選東京選挙区・おときた駿候補動画まとめ – NAVER まとめ

そこで、手話通訳よりカバー範囲が広く(手話は中途失聴者を中心にわからない人も多い)、技術的に導入が簡単なのが「字幕による情報保障」です。

このブログでもたびたび紹介しているUDトークを活用して、ビジョンなどを設置して字幕を出せば聴覚障害者の方々に広く内容を伝えることができます。

参考過去記事:
まだ情報保障で消耗してるの?「UDトーク」が変えていく、言語バリアフリーな未来

ところがこれ、公職選挙法上NGなんですよね。

ルール上、選挙期間中は定められた文書(選挙運動用ポスター等)以外のものを文字情報として掲示することは禁止されています。

【文書図画の頒布の規制】選挙運動のために使用する文書図画※は、インターネット等を利用する方法により頒布する場合を除き、公職選挙法第142条に規定された一定のもののほかは、頒布することができません。

したがって、ウェブサイト等に掲載され、又は電子メールにより送信された文書図画であっても、それを紙に印刷して頒布することはできません。

違反した者は、2年以下の禁錮又は50万円以下の罰金に処することとされており(公職選挙法第243条第1項第3号)、選挙権及び被選挙権が停止されます(公職選挙法第252条第1項・第2項)。

※文書図画について

公職選挙法における文書図画とは、文字若しくはこれに代わるべき符号又は象形を用いて物体の上に多少永続的に記載された意識の表示をいい、その記載が象形による場合を図画といい、文字又はこれに代わるべき符号による場合を文書というものとされています。判例上、コンピュータのディスプレイ上に現れた文字等の表示も、公職選挙法上「文書図画」と解されています。
(出典:総務省「現行の選挙運動の規制」

実際に私自身が以前、聴覚障害当事者を統一地方選で全面的に応援したことがありまして、その際に「パネルなどで演説内容を聴衆に示して良いのか?」と選挙管理委員会に問い合わせたところ、

「ルール上は公職選挙法に抵触する可能性が高い(ので、やってOKとは言えない)」

との回答でした。まあ、ビジョンを使って色々と流している政党・候補者もいるのですが、あれは実は黒よりのグレーなんですよね…。

「SNSはOKだけど、メールはNG」などの謎ルール改正も重要である一方で、こちらの「字幕保障」についての解禁も強く提唱していきたいと、改めて決意した次第でした。

皆さまもぜひ、お近くの議員にこうした声を届けてくださいね!

手話言語法の成立に向けても、国会議員として尽力して参りたいと思います。

参考過去記事:
実は日本には言語が2つある。日本語と、もう一つは…◯◯?!

それでは、また明日。


編集部より:この記事は、参議院議員、音喜多駿氏(東京選挙区、日本維新の会、地域政党あたらしい党代表)のブログ2019年7月28日の記事より転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方は音喜多駿ブログをご覧ください。