れいわ新選組の躍進と有志連合について

れいわ新選組の躍進について

参議院選挙が終わり国会に戻ると、れいわ新選組(以下れいわと略す)を話題にする人が多く、そのインパクトの大きさを実感した。

れいわ新選組ツイッターより:編集部

れいわを率いる山本太郎氏については、消費税に対するスタンスなど、私とは考え方が異なる。3.11の年、福島県で開催された東日本女子駅伝の開催に反対するなど、福島への向き合い方にも大きな違いがあった。他の野党の現状を考えると、野党の重心がれいわに傾く可能性がある。私自身は、臨時国会から自民党会派に入り国会活動を行うこととなった。自らの決断に後悔はない。

一方、れいわが結党からわずかな期間で、それも国会での活動を行う前に成果を出したことは間違いない。自民党が主導した特定枠を有効に使ってそれを実現したところにも戦略性を感じる。重度の障がいを持つ舩後靖彦氏と木村英子氏に対応することで、国会のバリアフリー化は一気に進むだろう。昭和初期につくられた国会は、改修が行われては来たものの、障がいのある人に親切な建物とは到底言えない。傍聴者に対する対応も含め、国権の最高機関たる国会があらゆる国民に開かれたものになれば、画期的なことだ。

舩後氏は、目の動きで会話や動作ができる「分身ロボット」の活用を希望しているという。経験のある人なら分かると思うが、ALSの患者さんとのコミュニケーションには時間がかかることがある。舩後氏の国会での発言を実質的に確保するために必要な機器なのであれば、使用を認めるべきだ。これまで国会は、プロジェクターやタブレットの使用すら認めないなど、電子機器に対して消極的な姿勢に終始してきた。これを契機に、諸外国と比較しても遅れている国会のIT化が進むことを期待したい。

有志連合に向き合う

国会の課題がバリアフリー化なら、政府の目下の懸案の一つは、米国が呼びかけて来ているアデン湾での有志連合への参加だ。この間、国内外の動きを注視して沈黙してきたが、国会に議席を持つものとして、国家の安全保障に関する判断から逃げることは出来ない。

忘れてはならないのは、わが国の企業が所有するタンカーが攻撃されたことが契機となったことだ。わが国のエネルギーの中東依存度の高さ、同じく中東依存度の高いアジア諸国の国力と我が国との関係、そして日米同盟を考えると、有志連合に関与しないという選択肢はないと私は考える。

原発事故への対応でも痛感したことだが、自らの国を守る気概と行動なくして、他国がわが国を守ってくれるなどという都合のいい話は国際社会においてはない。同盟国である米国は、3.11の際にわが国を全面的に支援する体制を敷いたが、自衛隊の行動無くして米国の支援はなかった。

わが国の選択肢としては、警戒監視、海上警備行動、海賊対処法や重要影響事態法による対応などが考えられるが、ゼロベースで想定されうる事態を検討すると、いずれも「帯に短し襷に長し」の感がある。新たに特措法を制定するとなると、かつての湾岸のトラウマが蘇ってくる。注意が必要なのは、1991年や2001年当時、中東での有志連合への参加を要請してきた当時の米国政府と、今のトランプ政権とは性質が大きく異なるという点だ。

この間のトランプ大統領、ボルトン補佐官、ポンペイオ国務長官、そしてダンフォード統合参謀本部議長などの発言を見ると、ホワイトハウス、国務省、米軍の発信にはバラつきがある。有志連合の結成が遅れている背景には、参加国の意思決定以前に、呼びかけ国である米国の意思が統一されていないことがあるのではないか。

米国のスタンスが不明確である以上、わが国が最優先でやるべきは、これまでの対応を強化することでシーレーンの実質的な安全を確保することではないか。わが国は、海賊対処法に基づき10年にわたってソマリア沖のアデン湾に自衛隊を派遣してきた経験がある。2013年からは、有志連合であるCTF151が行うゾーンディフェンスにも参加し、2015年からは司令官を派遣して、わが国だけではなく他国のタンカーの警備も行ってきた。

現時点で私が妥当だと考えるのは、CTFの枠組みをベースにエリアや機能の拡大を提案し、わが国が更なる役割を果たしていくアプローチだ。そのアプローチであれば、イランと米国との仲介役を引き続き果たすことも可能となる。ただ、事態の急変があれば、その際に様々な新たな対応が必要となる可能性には常に備えておかなければならない。

脆弱なシーレーンの安全確保はわが国の宿命だ。最後にもう一度強調しておきたいのは、わが国がこの問題に関与しないという選択肢はないということだ。


編集部より:この記事は、衆議院議員の細野豪志氏(静岡5区、無所属)のオフィシャルブログ 2019年8月1日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は細野豪志オフィシャルブログをご覧ください。