韓国をホワイト国からはずすことについて、日本人の理解は少し変ではないかと思う。ホワイト国からはずすとかいうことは日本の勝手であって、本来はとやかくいわれることではない。
しかし、韓国はこれが徴用工問題の報復だ、貿易制限を政治問題の報復措置として使うことは好ましくないと主張している。
ここで、論点はいくつかある。①韓国の輸出管理はひどいものなのか、②これは制裁でないのか制裁という意図もある程度はあるのか、③上記の①②を勘案すれば世界はどう見るのか?④WTOルールに反するのか、ということになる。
①については日本はそれなりの材料はそろえているだろうが、韓国はそんなことはない、日本だって問題はあるというから、日本の主張のほうが説得力はあるだろうが決定的であるかといえば程度問題になる可能性が強い。
②は制裁でないと日本政府はいっているが、国民にそういう印象を与えてしまってあちこちで制裁は正当という声が盛り上がってしまっているから姑息にみえる。
③だとすれば、多くの国は日本の措置がけしからんとはいえないまでも政治問題の解決に貿易措置を持ち込んだのは嫌だという印象を持つ人も多いだろう。
④これをWTOが協定違反というのはかなり無理があるが油断はできないしWTOの場での議論にされること自体がバカげている、ということではないか。
この問題の性質上、日本がどれだけの決定的な材料を持っているか、アメリカなどにどれだけ事前の根回しをしたか公開されていないので、なんともいえない部分もある。
ただ、私は徴用工問題への制裁は、ストレートに日韓基本条約を破ったことに対する報復としてもっとストレートな政治的な措置、損害を企業が受けた場合にその損害を補填するための緊急措置という分かりやすい方法を先に取るべきだという意見だ。
国際会議やWTOの舞台で、「制裁か制裁でないか」という争いをするのでは、WTOは受け付けないとは思うが、どっちもどっちになってしまうし、貿易問題の関係者に限定すれば、印象はよくない。
私は①日本人個人資産の賠償の提起、②北朝鮮復興に協力しない、③特別永住権の見直し、④韓流文化の流入制限(韓国が規制しているのと同様の措置をする)⑤教科書の近隣国条項の韓国に限った停止、⑥入試やNHKEテレにおける韓国語排除、とかを順次実施すればいいといってきた。
それらは、出来ればしたくないことだったり、したいが、韓国との約束だから、さらには日韓友好を壊したくないということで、遠慮してきたが、韓国が条約を守らないなら真っ当な仕返しだ。
さらに資産の現金化などがされれば、なんらかの形で、韓国企業、韓国人、韓国からの輸入などに課税して補償にあてるでもすればいいと思う。
そして、韓国産業の息の根を止める輸出制限はそのあとでよかったのでなかったかと思う。
いまとなっては、「本物の制裁」はいつどんなタイミングでするのか?外務省はよほど良いシナリオを持っていると思いたいが、タイミングを失しているのでないかと不安だ。
八幡 和郎
評論家、歴史作家、徳島文理大学教授