中田宏の知っトク解説。 今回は「海上警備行動」について解説したいと思います。
海上警備行動は、自衛隊法第82条に規定されており、『日本国民の生命と財産を守るための「海上行動」』を指します。
「海の安全を守る」という点では海上保安庁が対応していますが、海上保安庁では対応しきれない事態に、海上警備行動が自衛隊に発令されます。具体的には、外国の船舶などが武装していて、海上保安庁の軽微な武装では対応しきれない場合などが想定されます。
実は過去には海上警備行動が発令されたことがあります。
1999年に2隻の北朝鮮船舶が日本領海内に侵入をしました。このとき、海上保安庁が制止して逮捕を試み威嚇射撃もしましたが、高速船で逃走を図ったため発令されました。また、2004年には中国の原子力潜水艦が領海内を潜行した際にも発令されています。さらに、2009年にソマリア沖で海賊行為が相次いだ時も発令され、現在も続いています。
今、具体的に検討されているのはホルムズ海峡への対応です。背景にはアメリカとイランの対立がありますが、イラン革命防衛隊によって外国の民間船舶が拿捕されたり、何者かが日本の民間船舶などに攻撃をする事案が発生しているからです。
今後日本のタンカーなどを守るために海上警備行動が発令されるかは日本独自の判断となります。また、アメリカがホルムズ海峡を通過する民間船舶の保護のため、有志連合の結成を呼びかけています。この対応に日本政府は海上警備行動を検討するかもしれません。
仮に、それが海上警備行動である場合は、安全保障関連法に基づく集団的自衛権とは異なりますから、日本国民の生命と財産を守るためだけの行動になります。
いずれにしても、ホルムズ海峡の今後の緊張度合いや、具体的に何か不測の事態が起きるか、こういった観点から検討されていくことになります。
編集部より:この記事は、前横浜市長、元衆議院議員の中田宏氏の公式ブログ 2019年8月19日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方はこちらをご覧ください。