ネイティブもビジネスでは1行単位?伝わる英語の技術とは

尾藤 克之

Photos by K.Bito

「ビジネス英語」というと、英語のなかでも難易度の高い上級クラスのものだと思われがちである。

しかし、非英語ネイティブがほとんどのグローバルビジネスで、現在、実際によく使われている英語は、実はごく単純な易しい英語にすぎない。

使われている専門用語がとっつきにくく感じさせるだけで、よくよく見れば、その構造はごく単純な短文を、接続詞を使ってつなげているだけである。

今回は、『ビジネス英語は1行だけで書ける! 話せる! 8割通じる! 』(すばる舎)を紹介したい。著者は、グローバルビジネスアドバイザーの和田/徹さん。現役の営業マンとしても活動中。聴くニュースアプリ「Voicy」で、バイリンガル・パーソナリティーとして、「ビジネスマン視点の多言語ニュース」を配信している。

和田さんは、以前、日本とドイツでチームを組んで仕事をしたことがある。ドイツ側リーダーのペーターさんは、和田さんが勤める会社グループのドイツ法人で働く営業マンで、毎年、欧米の年間ベスト20に入る、年収2500万円の凄腕営業マンでもある。

ペーターさんとのやりとりは英語。メールと電話が中心だったがメールが非常に読みやすかったことを覚えているそうだ。まず、ペーターさんのメール文は箇条書き。当初、日本人の英語が下手だから、 箇条書きにしてくれているのかと思ったら、そうではなかった。

(和田さん)「その特徴は、『内容を項目に分けて番号を振り、伝えたいことは1項目に1つだけ』と至ってシンプルなものでした。次のようなものです。

Regarding “Product A”, (A製品について、)
Availability in UK (イギリスでの入手可否)
My UK colleague would like to promote this Product A to his UK based B Airlines’ customer.
(イギリスにいる同僚からイギリスを拠点にするB航空のお客様へA製品を拡販したいとの要望があります)

受け取ったメールに私が返信する際には、各項目の下に矢印(→)を付け、コメントを書いて返信しました。これを繰り返すことで、最後に受け取ったメールを見るだけですべての会話履歴が明確になり、次のアクションを決めるためのたたき台や、ペンディング事項を確認するツールにもなりました」

和田さんは、ビジネス英語で大切なことは、 シンプルでわかりやすいことにあるのだと納得したそうである。英語アレルギーがある人でも、小・中・高と英語を勉強してきたのだから短い1行文くらいなら書けるはず。そのレベルから、最短2ヶ月で実際にビジネスに使えるレベルまでの英語力をつけてしまおう! というのがこの本の主題でもある。

[本書の評価]★★★(75点)
評価のレべリング】※標準点(合格点)を60点に設定。
★★★★★「レベル5!家宝として置いておきたい本」90点~100点
★★★★ 「レベル4!期待を大きく上回った本」80点~90点未満
★★★  「レベル3!期待を裏切らない本」70点~80点未満
★★   「レベル2!読んでも損は無い本」60点~70点未満
★    「レベル1!評価が難しい本」50点~60点未満
星無し  「レベル0!読むに値しない本」50点未満

尾藤克之
コラムニスト、明治大学サービス創新研究所研究員
※14冊目の著書『3行で人を動かす文章術』(WAVE出版)を出版しました。