意外に思われるかもしれませんけれども、昼間の飲酒運転の事故が増えているんです。
この20年間、飲酒運転による悲惨な事故をいくつかありましたよね。
例えば平成11年に東名高速道路で起きた酒酔い運転の大型トラック事故。プロのドライバーが運転するトラックが起こした事故によって幼い子供二人が死亡しました。また平成18年に福岡市で飲酒運転の車が橋上で前の車に追突し、橋の欄干からぶつけられた車が転落。ぶつけられた車に乗車していた子供三人が溺死する悲惨な事故でした。これら悲惨な事故を受けて飲酒運転の厳罰化の声や、飲酒運転は絶対に駄目なというような情勢もできて、飲酒運転による事故は着実に減ってきました。
例えば厳罰化の声から、平成13年には危険運転致死傷罪というのが道路交通法ではなくて、刑法としてできました。
▼刑法第208条の2(危険運転致死傷)
アルコール又は薬物の影響により正常な運転が困難な状態で自動車を走行させ、よって、人を負傷させた者は15年以下の懲役に処し、人を死亡させた者は1年以上の有期懲役に処する。その進行を制御することが困難な高速度で、又はその進行を制御する技能を有しないで自動車を走行させ、よって人を死傷させた者も、同様とする。
2 人又は車の通行を妨害する目的で、走行中の自動車の直前に進入し、その他通行中の人又は車に著しく接近し、かつ、重大な交通の危険を生じさせる速度で自動車を運転し、よって人を死傷させた者も、前項と同様とする。赤色信号又はこれに相当する信号を殊更に無視し、かつ、重大な交通の危険を生じさせる速度で自動車を運転し、よって人を死傷させた者も、同様とする。
また平成19年には道路交通法が改正されて罰金と罰則が大幅に厳格化されました。
例えば、酒酔い運転の罰金が50万円から100万円へと引き上げられたなどなんですけれども、
改正道路交通法 (平成19年9月19日 施工)
改正前 改正後
酒酔い運転 3年以下の懲役又は50万円以下の罰金 5年以下の懲役又は100万円以下の罰金
酒気帯び運転 1年以下の懲役又は30万円以下の罰金 3年以下の懲役又は50万円以下の罰金
飲酒検知拒否 30万円以下の罰金 3月以下の懲役又は50万円以下の罰金
他にも飲酒運転周辺(車両提供・酒類提供・運転要求/依頼)者にも罰則の整備など大きく変わった
※全て行政処分の対象にもなります。
そうした中、冒頭にお伝えした昼間の飲酒運転による事故が増えているのはどういうことでしょうか。
より正確に言うと増えているのは件数ではなく割合です。すなわち、日中の飲酒運転事故の減少率が、夜間より減っていないということです。
例えば昨年1年間の全国での飲酒運転の事故は
平成18年 3276件(日中) 8351件(夜間) 合計11627件
平成30年 1278件(日中) 2077件(夜間) 合計3355件
でした。
総数こそ20年ほど前の平成18年に比べて3割弱になっているから、本当に大きく減っていますが、減少率は日中より夜間の方が減っています。
平成18年比べて昨年は夜間が75%減ったのに対して、日中は61%の減少ということで、結果として昼間、日中の事故割合が増えています。平成18年の日中の事故割合は28.2%、平成30年の日中の事故割合は38.1%でした。今年上半期、福岡県では夜間が35件に対して、日中が39件の事故で、昼と夜か逆転しています。
なぜ日中がもっと減らないのか。
昼間から飲んで運転する人数が増えている訳ではなく、どうやらお酒が体内に残った状態です。悪質な昼間の飲酒運転などもないわけではありませんが、二日酔い状態や、一致時間の経過で安心して運転してしまったなど、体内にアルコールが残っている自覚がないケースが多いんです。
最近、飛行機のパイロットが夜飲みすぎて朝の飲酒チェックでアルコールが検出されて乗務停止、飛行機が欠航してしまったニュースを聞きますが、我々も要注意です!
それから別にニュースなどで聞いたわけでありませんが、これから高齢者の昼呑みというのを注視しなければいけないとは思うんですね。私、居酒屋の店主から直接聞いたんですが、これまで空白の時間だった午後から夕方までの売上に高齢者が貢献してくれているそうです。
ぜひね、「飲んだら、飲むな」を徹底していただきたいと思いますが、実は私は4月から7月21日の選挙が終わるまで禁酒してました。今まで30年以上何だかんだ、とりあえずビールから始まって飲んじゃっていましたが、飲むなくてもやってられるっていうことが最近わかったんですね。この間なんかも全然一滴も飲まずにカラオケ歌いまくりですよ、人間やればできます。
編集部より:この記事は、前横浜市長、元衆議院議員の中田宏氏の公式ブログ 2019年9月4日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方はこちらをご覧ください。