全国86箇所ある「旧軍用墓地」。自治体任せではなく、国立化による整備運営を

こんにちは、音喜多駿(参議院議員 / 東京都選出)です。

9月11日は大阪に来まして、真田山旧陸軍墓地の視察と大阪維新の会・懇親会へ出席をさせていただきました。

夜の懇親会も大変印象深いものでしたが、まずは旧陸軍墓地についてまとめておきたいと思います。

「国の英霊を祀る」

というと、とかく靖国神社ばかりが注目される我が国ですが、国のために命を落とされた軍人の方々の遺骨が実際に納められている「旧軍用墓地」が全国に86箇所存在します。

大阪にある真田山旧陸具運墓地は、その中でも最大規模のものであり、5,000を超える旧軍人の方々が祀られています。

橋下徹「靖国神社参拝よりも大事なこと」 旧陸軍墓地を国立戦死者追悼施設に
https://president.jp/articles/-/26004

この軍用墓地が、あまりにも放ったらかしにされすぎているのではないか・国が責任をもって整備すべきだということを、橋下徹・前代表を始めとして、維新の会のメンバーはかねてから訴えかけてきました。

国会でも東とおる・浅田均参議院議員、そして足立康史衆議院議員らが質問で度々取り上げ、馬場幹事長から菅官房長官への直接要請も行っています。

その結果としてようやく、全国の軍用墓地を実態調査し、段階的に整備をしていく予算がつけられましたが、まだまだ十分な状況とは言えません。

例えば真田山の納骨堂などは、昭和18年に建てられたものを使用しており、「何か日曜大工で造ったような、地震があっても骨つぼが落ちてこないように、板を単に張り付けてあるような状況(H30.12.6 参・厚生労働委員会 東議員)」になってしまっています。

この原因の一つは、旧軍用墓地の維持管理が自治体任せになっていることにあります。

86箇所ある旧軍用墓地のうち、44箇所は自治体に貸与されており、42箇所はすでに自治体に移譲されています。つまり、国立のものは一つもない状態です(真田山の旧陸軍墓地も大阪市の所轄)。

なぜ国のために命を落とした軍人が眠る施設なのに、自治体任せになってしまっているのか。

戦後に決定されたということで、確かな記録は残っていないようですが、GHQが占領政策の一貫として、管理を国から強制的に切り離したとの説が有力です。

当時、日本の無力化を勧めていたGHQとしては、軍人に対するリスペクトを極小化していく狙いがあったのでしょう。

そしてその目論見の通りとでも言いましょうか、住民サービスを第一とする自治体任せになれば維持管理の優先順位は低くなり、多くの旧軍用墓地は十分な予算が使われず、荒廃が進み続けている状況です。

国と自治体の役割分担を明確にし、国から予算がついたことは大きな一歩ではありますし、真田山では吉村前市長・松井市長のリーダーシップにより独自の修繕に乗り出していますが、やはり旧軍用墓地は国立化し、国が責任と敬意をもって維持管理をしていくことが筋ではないかと思います。

日本には国立の戦死者追悼施設がなく、諸外国から要人が訪れても献花する場所がないことも問題になっています。

戦死者追悼というと、とかく「靖国問題」ばかりに目が行きがちですが、それはそれとして、遺骨が納められている旧軍用墓地の整備はもっと直接的で、解決可能性が高い課題のはずです。

私自身、高校生の時から靖国参拝は続けてきたものの、維新の問題提起に触れる前はこうした旧軍用墓地の存在すら知らず、自らの不明を恥じるばかりです。

不戦と平和の誓いを新たにし、「その時代の正義」のために犠牲になった戦死者をしっかりと祀るためにも、旧軍用墓地の早急な大規模整備と国立化を。

諸先輩方と力を合わせて引き続きしっかりと国会で訴えかけ、政策提言を行って参ります。

それでは、また明日。


編集部より:この記事は、参議院議員、音喜多駿氏(東京選挙区、日本維新の会、地域政党あたらしい党代表)のブログ2019年9月12日の記事より転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方は音喜多駿ブログをご覧ください。