朝日新聞が嫌いな萩生田 新文科相に望む4つのこと

田村 和広

萩生田光一衆議院議員の文部科学大臣ご就任を心よりお祝い申し上げる。

早速、新大臣に対し下記4点を要望する。

大臣として初登庁した萩生田氏(文科省YouTubeより)

現行教育内容のアップデート

日々小学生から高校3年生まで数学を中心に各教科の指導をしていて痛感するのが、数学科学教育の古さと歴史教育の歪みである。現状の「歪な日本」が出現する原因の一つは国民教育のこれら欠陥である。まずは大至急、小中学校での科学と数学、そして歴史の指導内容を現状の社会環境に合わせて更新して頂きたい。

要望① 放射性物質や放射線への科学教育(対症療法)

理科では放射線に関する知識、例えば放射線の種類の違い、自然放射線の量やベクレルとシーベルトの違いなどを丁寧にわかりやすく指導する必要がある。現状の説明では圧倒的に質・量ともに不足しており、理解は促進されないだろう。

算数・数学ではまず、「1マイクロシーベルト=0.001ミリシーベルト(千分の一)=0.000001シーベルト(百万分の一)」という単位換算や「1テラベクレル=1,000,000,000,000ベクレル(1兆ベクレル)」という桁の知識と計算訓練を強化する必要がある。普段子供たちに単位換算を教えているが、広さの単位である「a(アール)、ha(ヘクタール)」は修得しにくく記憶が残りにくい。

そこから想像しても、一般国民でこれらを理解できている割合は0.1%に満たないと思われる。食品会社がテレビCMで「ビタミンC1000mg配合です」と言えば「千ミリグラムも!」と情緒的にのせられるのが日本の文化水準である。(日本では「百=たくさん、千=凄くたくさん」という比喩表現的意味がある)

放射性物質に関する科学的知識水準は未開文明に近く、「安全だが安心ではない」という非科学的・情緒的扇動にも動かされてしまうのは当然である。

(なお、「安全だが安心ではない」については、藤原かずえ氏の論考「安全と安心と築地と豊洲-「安心神話」というケイオス」が素晴らしい。)

要望② 期待値の考え方の強化

次に、期待値の計算と考え方を中学数学に導入すべきである。

アゴラ研究所の池田信夫所長による論考「【GEPR】原子力を挫折させた三つの錯覚」(2019年05月27日)に以下の分析がある。

リスクを評価するには、1回の事故の被害(ハザード)ではなく、それに確率をかけた期待値を計算するという方法論が、多くの国民には理解できないのだ。

筆者はこれに全く同感である。その具体策として、筆者は期待値の指導を強化すべきであると考えている。(ご参考:「だから日本人の原発議論は進まない:教育課程の観点から」)

要望③ 歴史教育の刷新

いわゆる「近隣諸国条項」はもう廃止して頂きたい。少なくとも韓国の意向に配慮するのは即中止する必要がある。韓国内だけで歴史ロンダリングを進化させて行くのは止めようもないが、その日々肥大して行く妄想に基づき日本の歴史も汚染が広がる状況は速やかに改善したい。

例えば「李舜臣」は日を追ってその功績にインフレが起こり、それに合わせて奇妙な亀甲船の想像図までもが日本の教科書に掲載されている。今後も「創作映画・ドラマ」が大ヒットしたりすれば、それはもう「史実:あったこと」として「歴史の記録に書き加えられる」ことになる。

李舜臣の業績が増大すれば、連動して次は朝鮮通信使の姿が誇張される。このような歪曲の「複利計算」で、韓国側が描く「文化的に遅れた日本が悪逆非道な侵略をし続けてきた歴史」は年々事実から乖離して行き、いつしか日本側でも「史実」のようになる。

妄想が史実として日本の教育に反映される実例は他にもあり、例えば「チャングムの誓い」という創作ドラマは「エピソード」として山川の歴史資料集に載っている。こうして、気が付けば日本は歴史という精神的「領土・財産」の侵略・略奪を受けている。

一方の韓国側では「日本を呪う」歴史の創作が年々激化して行き、誰も歯止めをかけない。

これに関して韓国側は日本への配慮は一切不要である。

このような片務的で不公正な近隣諸国条項は、日韓両国にとって不幸の源泉である。交渉で廃止するか、話が通じないならば破棄すべきである。

要望④ 成人に対する国民教育の創設(原因療法)

科学や社会の進歩は早く、日本がこれからも繁栄して行くためには、地味だが教育が重要である。学生の間は強制的に情報を受領し続けるが、ひとたび学校を卒業してしまえば、科学や社会の進歩に合わせて知識と思考方法を更新するのは、各個人の意欲と資質が頼りになる。

しかし新聞もテレビも正しい情報を配信しているとは言えない状況で、自分の仕事に直結しない事柄について、一つ一つ吟味しながら正しい情報を得る労力とコストはあまりにも過大である。そのため、何らかの意図を持った誘導や扇動に国民が導かれてしまうリスクは依然として大きいままである。

そこで、国民向けの知識の更新機会を増やして頂きたい。これにはインターネットを活用するのが最も効果的だろう。ユーチューブで放送大学のような講座を配信しては如何か。英語版もありがたい。

萩生田大臣に期待する理由

萩生田大臣に期待する理由は、その仕事ぶりと「圧が強い」資質に加え、「河野談話への考え方」にもある。誤解を招きたくないので第三者である筆者がここには詳述しないが、文部科学行政を大いに活性化してもらえるだろう。

蛇足だが、朝日新聞が嫌がっているのも良い。

首相は今回、加計学園の獣医学部新設問題への関与が取りざたされた側近の萩生田光一・党幹事長代行を文部科学相に起用した。森友・加計問題は、いまだ真相が解明されていないというのに、既に「過去のもの」と言わんばかりだ。

朝日新聞9月12日社説より抜粋

戦前から現在まで、一貫して朝日新聞が反対する施策が日本にとっての正解だった。そこから帰納的に類推すれば、任命されただけで敏感に拒絶反応を示したことは「吉兆」とさえ言える。

まとめ

各論を挙げればきりがないので喫緊と感じる課題だけを端的に述べたが、他にも変えるべきことは沢山あるだろう。

教育行政を覆う各種の既得権と、長年の媚中媚韓教育による国難を、ここで萩生田大臣が起こす新しい風によって吹き飛ばして頂きたい。萩生田新大臣に大いに期待している。

田村 和広 算数数学の個別指導塾「アルファ算数教室」主宰
1968年生まれ。1992年東京大学卒。証券会社勤務の後、上場企業広報部長、CFOを経て独立。