30歳過ぎから、昨年11月末まで認知症祖母の在宅介護を6年ほど続けてきました。現在、祖母は精神病院へ入院し約9か月が経過、春先に急性腎盂炎や尿管結石を患いましたが、比較的元気に過ごしていています。筆者は仕事の合間や休みの日を利用し、週1回程度ではありますが面会へ行っています。
6年間の在宅介護で特に大変だったのが、夜から朝にかけての介護です。オムツ交換にトイレ誘導、尿もれを起こした時は着替えやシーツの交換も必要で体力的にも精神的にも大変厳しかったのを覚えています。
一方で、極力祖母にADL(日常生活動作)を維持してもらおうと夜間から早朝に取り組みを行っていました。
普段仕事や育児で忙しく、介護に協力しようと思いながらも、夜のお世話を特定の家族にお願いしてしまっている方もいらっしゃると思います。敬老の日はおじいちゃん、おばあちゃん、お父さん、お母さん孝行をする絶好の機会です。主介護者の負担も少なくなります。筆者が在宅介護をしていた時に、手伝ってもらいたかったことを3つあげました。
オムツ交換は主介護者以外がオススメ
在宅介護をしていた当時、午前0時ごろになると祖母のオムツが一杯になるので、新しいオムツに交換していました。しかし祖母は「なんでそんなに(オムツ換えることに)必死なんかいな。眠いから明日にして」と、拒否。一方、筆者以外の家族が交換したり、施設に滞在している時には、割と普通に応じていました。
主介護者に対しては、本人も自我が出やすいので、甘えたり、怒ったりしがちです。いつもと違う家族がオムツ交替をサポートするだけで、スムーズにできるようになることがあります。
筆者が祖母が入院する精神病院に面会へ行った時、介護士や看護士に「オムツ交換を拒否していませんか?」と聞くと、情緒不安定で多少暴れる時があるものの比較的穏やかと言います。
尿もれの対応はトイレ見守り係、寝具や衣服交換する係と役割分担を
どうしても日によって尿の量の差があるので、オムツを替えるのが間に合わず、尿もれを起こすことがあります。シーツ、掛け布団、洋服、オムツ・パッドを交換したり、トイレができたかの確認や、身体を拭く手伝いをしたりなど、複数のことを同時にこなします。
そのような時、寝具や衣服を交換する係、トイレを見守る係など、役割分担ができると、とても心強いです。排泄にまつわる介助は、介護される側にもデリケートなものですが、対応に余裕ができれば、今まで以上に適切な配慮ができるかもしれません。
なお、祖母の時には、ケアマネージャーや周囲に勧められた「尿もれシート」が効果的で、尿もれを大幅に減らすことができました。困った問題があれば、いろいろな方に相談に乗ってもらうことも大切です。
夜間でも極力自分で動いてもらうのがADLの維持に
夜間から早朝の介護でも部屋からつたって歩いてきてもらったり、便器の向きと違って排尿や排便をしないか、トイレから自分の部屋を覚えているかをあえて様子見していました。
極力自分で考えて動いてもらうのが認知症の進行抑制や行動が成功すれば本人の自信にもつながります。現に祖母は成功すると「そんなことぐらいわかってるわいな」と笑顔で応えてくれました。
とはいえ、夜間から早朝のADL維持を目指す介護、一人では過酷でした。少し様子をみていないと便器と逆方向に排便や排尿をして後始末に追われたり、転倒しそうになる毎日…。
ですので、協力者が一人でも多くいるとより充実した夜間から早朝のADL維持介護が損はありません。
少しした役割分担ができたり、交代ができたりするだけで、介護の負担感は大きく変わります。ぜひ敬老の日を機会にできることから挑戦してみてください。
それでは、筆者は祖母が入院する精神病院に面会へ行ってきます。
(↓ 動画は認知症祖母、真夜中、布団を人間と言い続け対応に苦慮するシーンです)
奥村 シンゴ フリーライター
大学卒業後、大手上場一部企業で営業や顧客対応などの業務を経験し、32歳から家族の介護で離職。在宅介護と並行してフリーライターとして活動し、テレビ、介護、メディアのテーマを中心に各種ネットメディアに寄稿。テレビ・ネット番組や企業のリサーチ、マーケティングなども担当している。