一般質問解説⑧ 都庁職員のマインドの転換を期待して

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>>>一般質問解説⑤ ライフスタイルの転換「二地域居住」
>>>一般質問解説⑥ 再生可能エネルギーの地産地消拡大に向けて
>>>一般質問解説⑦ ベイエリアで描く官民がチームになる方法

写真AC:編集部

こんにちは、東京都議会議員(町田市選出)のおくざわ高広です。

一般質問の解説も最後の質問テーマの「政策評価」となりました。東京都では、2020改革プランという、しごと改革、見える化改革、仕組み改革の三本の柱から成る行政改革が進められています。

この2020改革プランは、第三者によって急激に改革を進めるのではなく、職員自身が自律的に改革を進めていく方向性が示されています。しかし、どんな組織も自ら組織を変えていくことは容易ではありません。時間が経つに連れ、なんのために改革を進めるのかが薄れ、プランを形だけなぞっていくような状況になることをおそれています。

また、長期戦略の策定に向けた議論とあわせて、2040年代を見据えた新たな都政改革の議論がスタートしました。

次を見据えればこそ、今取り組んでいる改革の検証をしつつ、何のために改革をしなければならないのか、職員の皆さんにコミットしてもらわなければなりません。

中でも、仕組み改革の一つである政策評価を今回は取り上げました。これは、都の事業をできる限り定量(客観的な数値)で評価できるようにする試みです。企業と違って、売上などの目に見える数値を持たない行政に対して、数値をもって評価していくことは重要です。

一方で、その数値目標を見ていると、これまでの延長線上にある達成見込みの数値が掲げられていたり、定性的なもの(感情や意識など)を取り上げていなかったりと、つまり職員の皆さんの行動変容を促すようなものにはならないのではないかと感じました。

そこで、私の考える目指すべき行政のあり方を示すとともに、統括する立場の総務局の考えを示してもらったものです。行政改革は、その労力のわりに、目に見える成果が出るまでに時間がかかるため、積極的に取り上げていく議員が多くはありません。しかし、私は残りの任期で都政に残すことの一つとして、一人でも多くの職員のマインドの転換を促したいと思っており、20年後の都政をつくる若手職員の皆さんへのエールも込めて、質問させていただきました。

※次回は解説最終回、「残り時間0秒のプレッシャー」をおおくりします。

〜以下、一般質問全文&答弁〜

より幸せな都民の暮らしを支えるのは、都職員の皆さん一人一人にほかなりません。さらなる都政改革を進めるためのマインドの転換、行動変容を期待し、本年度から新たに開始した政策評価について伺います。

目指すべき行政のあり方とは、顕在化した課題への対症療法ではなく、社会課題として認識される前段階で起こる兆候をいち早く捉え、先手を打ち、根本的な解決を図る姿勢であると考えており、その成果は必ずしも数値にあらわれるものではありません。また、人権分野における心理面での変化など、定性的な部分にこそ目を向けるべき施策も存在します。

成果を重視した都政運営を推進する中でも、数値目標の達成を目的化させない評価指標を立てることが重要です。

Q8.そこで、今般の政策評価の取り組みにおいてはどのような指標を立てているのか見解を伺い、質問を終わります。

A8.総務局長答弁

政策評価における成果指標の設定についてでございますが、政策評価においては、都民に対して施策の成果をわかりやすく説明する観点から指標を設定することが重要でございます。施策が都民生活にもたらす効果を測定するための定量的なアウトカム指標を、可能な限り設定することとしております。

今年度の取り組みでは、都政改革アドバイザリー会議政策評価分科会からの意見もいただき、その目標が定性的なものとならざるを得ない普及啓発を主体とする施策においても、都民の意識調査を活用し、数値化するなど、施策の客観的な評価に資する成果指標の設定を進めております。

今後とも、政策評価の取り組みにより、効果的、効率的な都政運営を推進するとともに、施策の成果を都民にわかりやすく説明してまいります。


編集部より:この記事は、東京都議会議員、奥澤高広氏(町田市選出、無所属・東京みらい)のブログ2019年10月7日の記事より転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はおくざわ高広 公式ブログをご覧ください。