一般質問解説⑤ ライフスタイルの転換「二地域居住」

奥澤 高広

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こんにちは、東京都議会議員(町田市選出)のおくざわ高広です。

一般質問解説も折り返しを迎える第5弾となりました。本日のテーマは、地方との共存共栄にも繋がるライフスタイル二地域居住について。

二地域居住とは、例えば平日は都心部で週末は地方で暮らすようなライフスタイルで、内閣府地方創生本部「まち・ひと・しごと創生基本方針2019」にも出てくる、地方の関係人口を増やすのに有効な施策の一つとされます。

国交省サイトより:編集部

しかし、私は人の流れを政策で無理矢理変えていくことには違和感があります。23区の大学定員抑制や地方移住をしたら補助金を出すような政策ではなく、あくまでも、その方が望むライフスタイルを認めることができる制度をつくることが重要だと考えています。

例えば、徳島県などが進めている都市部と地方の複数の学校に通うことを可能とするデュアルスクールや豊島区と秩父市で準備を進める行政サービスを継続することなどを整えていくことで、自然と二地域居住が進むはずです。実際に二地域居住(多拠点生活)を推し進めている株式会社ADDressの佐別当隆志さんからお話を伺うと、

✔︎東京の喧騒から離れ、地方で過ごす時間が、都心でのさらなる活力の源泉となる

✔︎地方にとっては、農家の働き手やみこしの担ぎ手などとして地域の活力となっている

といった声が聞こえてきました。こうした声に応えて、そのハードルとなっている制度を変えることで、結果として、地方の関係人口が増え、都市と地方の共存共栄が進むと考えるものです。

この質問は、実は登壇する直前まで担当者とのやり取りを続けることになり、大変骨の折れるものでした。これまで都として取り組んできていない概念、政策である二地域居住について、どこまで答弁できるのかと頭を抱えていたようですが、最後まで考え抜いていただいた職員の皆さまには大変感謝しています。

答弁には、

今後とも、地方との交流に係る国の動向にも注視しつつ、相互の理解を深める取り組みを進めてまいります。

とありますが、

✔︎地方との交流に係る国の動向 → 二地域居住を含む関係人口を増やす政策

✔︎相互の理解を深める取り組み → 一方的に人の流れを変えるのではない

と読み替えていただくと、少し理解しやすくなるのかなと思います。

ふと調べてみたところ、二地域居住やイベント民泊、エネルギーの自産自消など、これからの時代のライフスタイルに関するキーワードを議会で取り上げたのは私が初だったようです。引き続き、未来の暮らしに焦点を当ててていきたいと思う次第です。

〜以下、質問&答弁全文〜

無理をしない持続可能なライフスタイルが社会に与える好影響について伺います。

これまで、地方との共存共栄について、都は多面的な施策を講じてきていますが、注目される考え方の一つに関係人口があります。

内閣府、まち・ひと・しごと創生基本方針や未来の東京への論点にも登場する二地域居住は、東京に住まいながら、休日などを利用して、地方のさまざまな活動の担い手となる暮らし方であり、関係人口をふやす一つの手段でもあります。

東京の喧騒から離れ、地方で過ごす時間が、都心でのさらなる活力の源泉となり、一方で、地方にとっては、農家の働き手やみこしの担ぎ手などとして地域の活力となっているとのことです。

東京と地方の両方を舞台に、主体的に活躍する暮らしが、結果的に日本全体の発展に寄与するものと考えます。

Q5.二地域居住を初め、東京で住まう方々が地方の担い手ともなるような活動を促進することは、地方との共存共栄を考える上で大切な観点であると考えますが、見解を伺います。

A5.政策企画局長答弁

地方との共存共栄についてでございますが、日本全体が今後も持続的な成長を遂げていくためには、東京と地方がそれぞれの持つ魅力を高め、互いに協力し合うことにより、ともに発展していく共存共栄を図ることが重要であります。

このため、都は、全国の中小企業の販路拡大や日本各地の魅力発信、国産木材の需要拡大など、地方と連携した取り組みを展開してまいりました。

今後とも、地方との交流に係る国の動向にも注視しつつ、相互の理解を深める取り組みを進めてまいります。


編集部より:この記事は、東京都議会議員、奥澤高広氏(町田市選出、無所属・東京みらい)のブログ2019年9月29日の記事より転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はおくざわ高広 公式ブログをご覧ください。