党所属議員の質問通告などに関する見解

玉木 雄一郎

11月20日の記者会見で、我が党の森ゆうこ議員の質問通告等に関して質問が出て答えたので、改めて本件についての考えを記します。

個人情報の漏洩について

まず、国家戦略特区ワーキンググループの原英史座長代理の個人情報、住所情報をインターネット上に出してしまったことについては、大変申し訳なく思います。森ゆうこ議員自身も個人情報が出ていたことを把握した後、速やかに黒塗りして隠しました。ただ、参議院農林水産委員会の理事会で(公開を前提に)使用を認められ​​​​​た「委員会配付資料」だったので、理事会としても、もう少しきっちりチェックすべきでした。

ただ、結果として個人情報が出てしまったことは事実であり、原氏に対してお詫び申し上げます。党全体としても、今後このようなことがないよう徹底したいと思います。なお、本件に関しては我が党の参議院幹部から森ゆうこ議員に対して注意しました。

質問通告について

質問通告の問題に関しては、党内でも調査をしてきましたが、

①参議院の「通告」(ここには質問内容は入っていない。※下記先例録参照)は申し合わせの時間よりも前に出ていること、また、

②質問内容についても「要旨」という形で申し合わせの時間までに届いていたこと

が、与党議員も入った参議院予算委員会理事会で正式に確認されました。公式の場で結論が出たことから、「通告」、「要旨」ともに申し合わせの時間までに、参議院委員部第一課予算担当に提出されていたというのが事実です。

参議院委員会先例録135

予算委員会において質疑を行うに当たっては、理事会において、各会派に対し所属委員数等を考慮して質疑時間(答弁時間を含まない。)を割り当てるとともに、その質疑順位を定め、これを委員会に報告するのを例とするが、これを委員会に諮って決定した例もある。 各会派は、質疑者の氏名、質疑の順位、質疑時間及び出席を求める国務大臣等を記載した文書により、委員長に通告し、委員長は、これを質疑通告表に記載し、その順序により発言を許可するのを例とする。

委員会日程の早期決定と早期通告をセットで

ただ、以前も申し上げたとおり、様々なやりとりの中で、結果として霞が関の皆さんが遅くまで職場に残ることになってしまったことは事実であり、申し訳なく思うとともに、制度も含めて改めなくてはならない部分も多くあると感じました。

そこで、古川元久政治改革推進本部長、そして泉健太政調会長(兼同本部国会改革小委員長)を中心に、通告のあり方を含めた国会改革について、我が党としての考えをまとめるよう指示し、「第一次案」がまとまりました。なお、昨年12月に取りまとめた「国民民主党がつくる国会改革新構想」で大きな国会改革の方向性は出しており、今回の改革「第一次案」もその内容に沿ったものです。

大切なことは2つあります。

まず、①本会議や委員会の開催日程を早期に確定すること。

今回のケースで言えば、連休明け10月15日(火)の予算委員会の開催が正式に決まったのが、営業日で言えば前日にあたる11日(金)でした。そこから通告の締切を同日17時にした時点で、仮に全質疑者が申し合わせの時間を守ったとしても、霞が関の中央省庁の皆さんの深夜残業は確定します。国会質問の答弁書は、答弁作成をどこが行うかの調整や答弁書案の決裁や合議などがあり、作成に時間を要するからです。

1999年に与野党で申し合わせた「前々日の正午までに質問の趣旨などを通告する」というルールをいくら唱えても、委員会の開催が少なくとも3日前に決まらないと絵に描いた餅になります。

その上で、②質問通告を「内容まで含めて」約束の期限内に提出することです。

実は、何をどのように通告するかについては、統一的なルールがなく衆参でバラバラなのが実態です。例えば、参議院の「通告」には質問内容が含まれていません(実は私も知りませんでした)。

しかし、想定問答をつくる省庁側からすれば、知りたいのは質問内容です。したがって、質問内容まで含めて、約束の期限内に提出することを徹底するだけで問題はかなり改善すると思います。そして、さらに踏み込んで、正式に委員会開催が決まる前から自主的に質問分野や内容などを「先行通告」することも、省庁側の予測可能性を高め、明らかに関係のない部局を「待機」から早期に解放することにつながると思います。

このうち②については、改革の「第一次案」にもあるので党内で進めたいと思いますが、①については、与野党の合意が必要なので、ママパパ議連など超党派で国会改革を進めていきます。これからも、絶えざる検証、検討を通じて、改善方策を示していきます。

真の国会改革には政権交代が必要

最後に、なぜ国会改革はこれまで何度も提案されてきたのに進まないのでしょうか。

私は、日本に政権交代が根付いていないことが大きな一因だと考えています。与党側に「いつか野党になる」という緊張感と、野党側に「いつか与党になる」という想像力があれば、国会改革はもっと進むはずです。万年与党と万年野党が存在するだけでは、与党は野党の権限を小さくすることしか考えませんし、野党は日程闘争を中心に法案を廃案に追い込む戦略を取らざるを得ません。

中身のある国会議論を実現するためにも、やはり政権交代が可能な仕組みを定着させていかなくてはなりません。緊張感のある政治を実現できるよう努力を続けたいと思います。

参考 国民民主党 政治改革推進本部 国会改革小委員会「国家公務員の労働環境是正のための国会改革に向けての第一次案」(2019年11月19日)より抜粋

○省庁側の『待機』を減らせるよう、質問分野の先行通告などに取り組む。

○データ共有を簡易にするため、文書により質問通告をする場合はデータ送信を基本とし、その後の調整のために秘書の携帯電話番号付記などのルール化を進める。

○国会議員・秘書へのオンラインレク実証実験への参加・協力を進める。

(今後の検討項目)

○委員会開催日程の早期確定に向けた与野党の協議

○議員の質問作成時間の確保と早期の通告との兼ね合いを踏まえた仕組みづくり

○質問主意書のあり方の見直し

○政府参考人の拘束時間の短縮


編集部より:この記事は、国民民主党代表、衆議院議員・玉木雄一郎氏(香川2区)の公式ブログ 2019年11月22日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方はたまき雄一郎ブログをご覧ください。