香港区議選、民主派圧勝でこの先どうなる?

民主化を求めて混乱が続いている香港ですが、11月24日投票が行われた、区議会(地方議会)議員選挙で、民主派が圧勝しました。
投票率は4年前に行われた前回の47%から、今回は71.23%に24ポイント以上あがりました。それだけ市民が注目し、意思表示をしたということです。

香港には18区で定数452議席ある今回の選挙では民主派が385議席、親中派と言われる中国寄りの人たちが58議席ということで民主派が全議席の8割以上を占めました。これまでの議席構成は民主派が126議席、親中派が298議席ですから、完全に今回は逆転したということです。

2015年選挙結果      2019年選挙結果
民主派 126議席     民主派 385議席
親中派 298議席     親中派 58議席
その他 7議席 その他 8議席

この結果に対して香港の林鄭月娥(りんてい げつが)香港特別行政区行政長官「市民の社会への不満が反映されている。政府は虚心に市民の意見に耳を傾け、反省する」と述べました。林鄭月娥氏は親中派というよりも、「中国の傀儡」と言える存在ですから、反省してるからといって民主化を進めるわけではないでしょう。むしろこう発言するしかなかったでしょうし、暴力的になった民主化運動にたいし、冷ややかに見ている市民に期待していたはずですが、実際はそうではなかったことに衝撃を受けているようです。今後、林鄭長官がどうするかではなく、その背後にいる中国がどうするかということになるわけですけれども、その中国も衝撃を受けているのは間違いありません。

香港の区議会というのは日本の市町村議会にあたると言えばあたりますが、ただ、生活面などについての意見を言う機関にすぎないわけで、日本の地方議会のように強制権があるような条例をつくることはありません。

これに対して、2020年9月に予定されている香港特別行政区立法会議員選挙。この立法会は日本でいう国会に当たり、香港のルールを決めるところです。こちらは親中派の業界枠というのが最初から決まっているので、親中派に明らかに優位ですが、それでも民主派が過半数に近づく議席を取ることは可能ですから、どうなるか注目です。さらに3年後の2022年には、親中派の「出来レース」といわれてきた行政長官選挙が2022年に実施されます。

今回の選挙結果を受け、これから行われる二つの選挙で民主派がもっと勢いを増さないように、今のうちにルールを変えるということを中国はやるかもしれません。もしそんな動きになれば民主派はもっと抗議活動を活発化するということになるんでしょう。今度は抗議活動に対して中国が武力制圧をする可能性もあり得ます。

しかし、来年1月には台湾の総統選挙を控えています。仮に香港のデモを武力制圧すれば、台湾の反中国人を勢いづかせるということにもなりかねません。ですから、しばらくは武力制圧にでないと思いますが、香港の混乱が続いていくと思います。

それにしても、日本は平和ですね。
混乱がないことは良いことですが、今年の選挙を振り返ってみても選挙に対する真剣さが足りていない、平和ぼけのような気がしますね。

※傀儡(かいらい)・・・・人の手先となって思いのままに操られる人


編集部より:この記事は、前横浜市長、元衆議院議員の中田宏氏の公式ブログ 2019年11月29日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方はこちらをご覧ください。