ブラックフライデー、オンライン売上高は予想以下も過去最高

今年は北東部の一部地域で悪天候に見舞われるなか、ブラックフライデーは個人消費の力強さとオンラインの勢いをみせつけました。

(カバー写真:verkeorg/Flickr)

アドビによれば、感謝祭明けのブラックフライデーのオンライン売上高は前年比19.4%増の74億ドルでした。前年の62億ドルを超え、過去最高を更新1人当たり支出額も前年比5.9%上昇の168ドルと、統計開始以来で最高を打ち立てました。ネット通販が値引きを行なうサイバーマンデーの過去最高記録、2018年の79億ドルに迫る勢いです。

ブラックフライデーのオンライン売上高は市場予想の75億ドル以下でしたが、これはウォルマートのように前倒しでセールを行った小売業が多かったほか、ブラックフライデーまで待てなかった消費者が増えたためと考えられます。感謝祭のオンライン売上高は前年比14.5%増の42億ドルと、史上初の40億ドル超えを果たしました。オンライン売上高のうち、スマートフォンやタブレットなどモバイルが45%を占め、前年の33.5%を大幅に上回りました。ひたひたと、そして着実にデスクトップに迫ります。

ブラックフライデー、風物詩となっていたドアバスターの光景は過去のもの?

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(出所:Diariocritico de Venezuela/Flickr)

こちらでご紹介したように、ブラックフライデーの後はスモールビジネスサタデーがございました。今年のオンライン売上高は前年比18%増の4.7億ドル(午前9時時点)となり、30億ドルを突破する見通しです。

アドビ・アナリティクスは、ブラックフライデーや感謝祭のオンライン売上高に対し「高額商品をオンラインで購入する抵抗がなくなった証左」と分析。その上で、サイバーマンデーの売上高につき、前年比18.9%増の94億ドルと予想します。果たして記録を超えてくるのか、結果が待ち遠しいですね。

今年の人気商品は“フローズン2”、“L,O.L.サプライズ”、“パウ・パトロール”など。ビデオゲームの売れ筋は“FIFA 20”、“マッデン 20”、任天堂の“スイッチ”。電子機器ではアップルのラップトップの他、エアポッドなどが入りました。

小売業別でみると、オンライン売上高が10億ドル以上のネット・ジャイアンツが勝ち組となっており、前年比244%増を達成しています。対して、小規模店は61%増にとどまりました。翌日配送などが大規模店に勝利をもたらしています。

とはいえ、大規模店でも結果はまちまちの状況。意外にも、こちらで紹介した勝ち組のターゲットは感謝祭とブラックフライデーでは負け組に転じています。

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(作成:My Big Apple NY)

同社は、玩具小売トイザらスのサイトから直接つながる仕組みとなっていたにも関わらず売上高などに貢献しなかった理由として、11月前半にオンライン売上高が前年比47%増となった反動が考えられます。

ただし、ウォルマートも51%増だっただけに、やはり明暗が分かれたと言わざるを得ません。ターゲットの他ベストバイ、メイシーズ、コールズなどが感謝祭に開店させた結果、SNS上でボイコットを呼びかける声が上がったとはいえ、ベストバイはむしろ前年比で注文額は上昇していました。

なおアドビ・アナリティクスは、小売業で上位100社のうち80社、5,000万SKU(最小在庫管理単位)をカバーします。

(カバー写真:verkeorg/Flickr)


編集部より:この記事は安田佐和子氏のブログ「MY BIG APPLE – NEW YORK -」2019年12月1日の記事より転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はMY BIG APPLE – NEW YORK –をご覧ください。