こんにちは、音喜多駿(参議院議員 / 東京都選出)です。
国会会期も終わったので、少しずつ勉強に充てられる時間も増えてきました。
日本人に対しても説明が複雑な「男系天皇」「女系天皇」を、外国の方に英語で説明するのはなかなか難しい…。
午後からは各省庁を読んでレクチャーと意見交換をみっちり。できる時にしっかりと知識を入れて、きたる来月の国会論戦に備えたいと思います。
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さて、その受けたレクチャーの一つが先般報道のあった、政府による「全国50箇所の高級ホテル増設計画」についてです。
国交省(文化庁)と現状について意見交換したものの…やはりあまりにも筋が悪い政策であると思えてなりません。
すでに多くの有識者から指摘が入っている通り、「五つ星ホテル」という枠組みで見れば確かに日本にその数は少ないものの、需要より供給が少なければ民間事業者が参入するはずであり、需要がないところに無理やり供給を作り出すことはできません。
特に観光業においては、悪名高き「リゾート法(総合保養地域整備法)」の大惨事が良い例です。
バブル期後半に打ち出されたこの政策では、税制優遇や政府系金融機関の融資によりリゾート開発を促し、目先のインセンティブに飛びついた各自治体と民間事業者がこぞって手を上げました。
しかし需要がないところにリゾート地を作っても採算は取れず、民間事業者は次々に破綻・撤退(シーガイアなど)。
リゾート跡地は過疎化し、そのダメージはいまだに日本全国に深い爪痕を残していると言われています。
今回の高級ホテル増設計画でも「財政投融資の活用」が打ち出されて、直接的に補助金を注ぎ込むものではない・あくまで主体は民間事業者であることが強調されています。
しかしリゾート法で明らかなように、民間事業者が撤退した後に割を食うのは地域産業・自治体であり、まったく過去の経験に学んでいないとしか言いようがありません。
加えて、政府による融資は高金利の時は有効ですが、マイナス金利のこの時代に政府系融資がどの程度のインセンティブになるかはまったく未知数、というかあまり意味がないんじゃないかなと思います。
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そもそも日本のホテル・旅館産業が冷え込んだのは、バブル期にかんぽの宿やグリーンピアなど行政が安価で泊まれる祝初施設を税金で乱立させ、価格破壊をして既存の民間事業者たちの体力を奪いまくったことも原因の一つです。
まずはこの深い反省に立ち、ここから外国人観光客のためにホテル・旅館を活性化させるためには、既存の民間主体を立て直すとともに、(場所によっては)新規建設を阻んでいるとされる建築法や都市計画法の規制を緩和することを検討するべきではないでしょうか。
本件は動画でも解説させていただきました。
財政投融資のスキームを使うとすれば、まさに私が所属する財政金融委員会のマターとなりますので、次期国会でしっかりと追及して参りたいと思います。
それでは、また明日。
編集部より:この記事は、参議院議員、音喜多駿氏(東京選挙区、日本維新の会、地域政党あたらしい党代表)のブログ2019年12月11日の記事より転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方は音喜多駿ブログをご覧ください。